オフィスや店舗で従業員や顧客に提供する飲料水は、安全性が何よりも重視されます。ウォーターサーバーはその目的のために広く導入されていますが、一方で「雑菌の温床になりやすい」といった疑問の声も聞かれます。しかし、実際のところウォーターサーバーは適切な管理さえすれば極めて衛生的な水の供給が可能です。本記事では、ウォーターサーバーの衛生面に関する正しい知識を紹介すると共に、安全で快適な飲料水の提供に向けた選び方とメンテナンス方法をご案内します。
ウォーターサーバーの衛生面に関する誤解と事実
「ウォーターサーバーは雑菌の温床」という認識は、一部のメディア報道から生まれた誤解と言えます。確かに古くからあるウォーターサーバーの中には、内部の構造が複雑で洗浄しにくいものがあり、不適切な管理を続けた場合に雑菌が繁殖するリスクがありました。しかし近年は、衛生面での安全性が大幅に向上したウォーターサーバーが数多く登場しています。
実際、2021年の国民生活センターの調査では、直近1年間でウォーターサーバーの衛生トラブルによる健康被害は認められませんでした。また、日本環境協会が行った検査でも、メーカー直営の宅配を利用し、メンテナンスを適切に行えば、飲料水の衛生面での安全性は十分に確保できることが実証されています。
つまり、ウォーターサーバーそのものに衛生上の問題があるわけではなく、正しい選び方とメンテナンスが重要なのです。安心してご利用いただくために、以下でその方法をご説明します。
ウォーターサーバーのメンテナンスと管理
ウォーターサーバーを衛生的に保つには、日々のちょっとした心がけと、定期的なメンテナンスが不可欠です。
まず日常的な管理ポイントとしては、水をつぎ足す際のノズル周りの清掃と、ウォーターサーバーの電源をこまめに切り、内部の水を空にすることが重要です。また、サーバー本体や給水スタンド、コップの清掃も欠かせません。専用の中性洗剤で定期的に洗浄し、清潔に保つ必要があります。
さらにメーカーによるメンテナンスサービスを活用することをおすすめします。定期的な浄水フィルターの交換は水質の安全性を保証します。また、サーバー内部の徹底的な洗浄と除菌を行う分解洗浄は、1年に1回は依頼しましょう。これらのメンテナンスには手間とコストがかかりますが、安全な飲料水の安定供給に欠かせません。
ウォーターサーバー選びのポイント
さて、どのようなウォーターサーバーを選べば安全で快適な飲料水の提供ができるでしょうか。まず重要なのは、内部構造が単純でお手入れのしやすい製品を選ぶことです。給水タンクやパイプ、排水口などが分解して丸洗いできるデザインがおすすめです。
また、自動で内部を洗浄・除菌する機能を搭載しているウォーターサーバーを選ぶと、手間が大幅に省けます。例えば電解水による除菌や、サーバー内部に直接ノズルを備えた洗浄システムなどがあり、ボタン一つで清掃が可能です。清掃時間の短縮だけでなく、隅々までこまめに洗えるのでより衛生的です。
さらに、アルカリイオン水生成機能があれば、お手入れの手間を大幅に省くことができます。この機能によってできたアルカリ性の電解水は除菌力があり、ウォーターサーバー内部を常に殺菌状態に保ちます。従って頻繁な手洗いが不要になり、清潔に保ちやすくなります。
利便性の観点では、ワンタッチ給水が可能なサーバーがおすすめです。給水口に直接ボトルやポリタンクをセットするだけで自動で注水される仕組みで、ごみの取り残しや雑菌の付着リスクが低減します。
そのほか、省エネ設計、チャイルドロック、転倒防止ワイヤーなど、安全面での機能も見落とせません。
このように、最新のウォーターサーバーには様々な工夫が凝らされています。導入時に各機能を確認し、用途と予算に合わせて最適な製品を選ぶことが重要です。
ウォーターサーバーの構造と安全対策
安全性に優れたウォーターサーバーを選んだ上で、その仕組みと構造を理解し、正しく活用することで飲料水の安全性をさらに高めることができます。
まず、給水タンクへの水の流れに注目しましょう。外気に触れる給水口からタンクに至る経路が、極力短くシンプルな構造になっている製品が望ましいでしょう。複雑な管路を通らずに給水できれば、汚れが付着しにくくなります。
次に、給水タンク自体の構造を見てみましょう。よく見かける透明のポリカーボネイト製のタンクは衛生的で、内部を目視できるのが特徴です。一方、ステンレス製は水垢が付きにくく清掃しやすい反面、内部が見えづらいデメリットがあります。どちらを選ぶかは用途に応じて判断することになります。
また、給水タンク内部の殺菌対策も重要なポイントです。先進的なウォーターサーバーは、電解された次亜塩素酸を生成し、常にタンクを除菌された状態に保つ機能を持っています。また、タンク内部にUVランプを備え、紫外線による殺菌を行う製品も存在します。高価にはなりますが、最高レベルの衛生管理を実現できます。
さらに、水抜き口の構造にもご注目ください。排水経路が極力短く、渦巻きのないスムーズな排水が行える構造が理想的です。古い製品の中には、排水パイプが複雑に曲がりくねっていたり、水が滞留しやすい形状のものがありました。そのようなデザインでは、洗浄しきれない死に水ができてしまい、雑菌が繁殖するリスクがあります。合理的な構造を備えた製品を選ぶことが重要です。
このように、ウォーターサーバーの各部位の構造に着目し、製品を選ぶことで、安全性の維持が格段に容易になるでしょう。
まとめ
ウォーターサーバーは従業員や顧客への安全な飲料水の提供に役立つ便利なツールですが、適切な管理が不可欠です。メンテナンスの怠りや古い製品の使用が原因で不衛生な事態に陥る懸念はありますが、最新のウォーターサーバーを正しく選び、メーカー指定の手入れを行えば、十分な安全性が確保できることがわかりました。
衛生面での安全性は、事業運営において従業員の健康を守る大前提となります。さらに、清潔な飲料水は顧客サービスの質を大きく左右する重要な要素でもあります。一方で、節水やフィルター交換のコストを含めたランニングコストの管理も経営の観点から欠かせません。
そのような課題を解決するためには、本記事で解説した安全性とメンテナンス性に優れたウォーターサーバーの導入が、現実的で効果的な対策といえるでしょう。オフィスや店舗における快適で健康的な環境づくりに、ウォーターサーバーを活用していきましょう。