電気代が高くなっている？電気代が高い原因や節約方法を徹底解説！

電気料金の推移

電気代は直近の3年間でどのように推移しているのでしょうか。参考にできる資料として、総務省統計局が発表している小売物価統計調査（主要品目の東京都区部小売価格）があげられます。調査の対象となっている電気代は「従量電灯、アンペア制（契約電流50アンペア）又は最低料金制、441kWh」です。同資料によると、電気代の推移は以下の通りです。

出典：総務省統計局「小売物価統計調査（主要品目の東京都区部小売価格）」

多少の上下動はあるものの、右肩上がりで上昇していることがわかります。また、高止まりしている点もポイントです。

過去1年間における電気代の推移をさらに詳しく見ていきます。従量電灯・低圧・高圧・特別高圧の平均販売単価（対象：全国）は、次の通りです。

出典：一般社団法人エネルギー情報センター「電気料金単価の推移」

以上のデータからも、電気代が高止まりしていることがわかります。例えば、従量電灯は1年間で8.72円、低圧力は6.68円も値上がりしています。電気代の値上がりはなぜ続いているのでしょうか。

電気代の値上がりが続く主な原因

電気代の値上がりが続く主な原因として、以下の4点があげられます。

燃料価格の高騰

最も大きな原因とされているのが、世界的な燃料価格の高騰です。全燃料種で化石燃料価格が高騰しているため、火力発電の割合が高い上、国内で化石燃料を調達できない日本の電気代も高騰しているのです。

2020年まで1トンあたり40,000～60,000円程度で推移していたLNGの価格は、2022年11月時点で128,600円/トン、2020年まで1klあたり30,000～50,000円程度で推移していた原油の価格は2020年11月時点で93,600円/kl、2020年まで1トンあたり9,000円前後で推移していた石炭の価格は、2020年11月時点で48,300円/トンまで高騰しています。

価格高騰の背景とされているのが、新型コロナウイルス感染症です。流行拡大を受けて、世界全体のエネルギー需要は大きく落ち込みました。2021年頃からワクチンが普及したことなどで、経済活動が急速に回復しエネルギー需要も増大します。急激な需要増に対応できず供給量が不足したことで、化石燃料の価格は高騰したのです。

ヨーロッパで進行しているエネルギー危機の影響も見逃せません。2020年秋から冬にかけて風力発電の稼働率が低下したことで、化石燃料の貯蔵量は低下しました。さらに、2021年にはメンテナンスを理由に、ノルウェーからのガス供給量も減少します。これらにより、化石燃料をめぐる競争が激しくなり、価格が高騰していると考えられています。

日本国内の電力供給不足

日本国内の事情も電気代の高騰に影響を与えています。原因のひとつといえるのが、電力供給不足です。供給より需要が大きくなると、電気代は上昇傾向になってしまいます。電力供給不足が起きている主な理由は、次の2つです。

【2つの理由】

• 原子力発電所の稼働停止

• 老朽化した火力発電の休廃止

東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故を受けて、国内の原子力発電所の多くは運転を停止しています。安全性を確認できたものは再稼働していますが、それでも2010年以前の水準には及びません。2010年度における日本の年間発電電力量に占める原子力発電の割合は25％でしたが、2020年度は3.9％まで低下しています。基幹電源のひとつを活用できていないため、電力供給が不足しているのです。

出典：エネルギー資源省「エネルギー白書2022」

老朽化した火力発電の休廃止も、電力供給不足に影響を与えています。休廃止が進んでいる主な理由は、電力自由化で採算をとれなくなったためです。老朽化した火力発電所の維持・運営には多大なコストがかかります。競争が激しくなった市場環境で、優位性を確保できないため休廃止が進んでいるといえるでしょう。

再エネ賦課金の値上げ

再生可能エネルギー発電促進賦課金（以下、再エネ賦課金）の値上げも、電気代が高騰している原因のひとつと考えられます。再エネ賦課金は、再生可能エネルギーで発電した電力を、一定期間にわたり一定価格で買い取ることを電力会社に義務付けた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に関連する賦課金です。具体的には、利用者が電気代の一部として支払っている買取費用を指します。再エネ賦課金の単価は、毎年度、経済産業大臣が定めます。単価の推移は、次の通りです。

出典：東京電力ホールディングス「電気料金・制度」

10年間で1kWhあたり3.23円高くなっています。わずかな金額に思えますが、電力使用量が大きくなると、電気代に与える影響も大きくなります。

世界情勢の悪化

2022年以降の化石燃料価格高騰には、世界情勢の悪化も関わっています。ここでいう世界情勢の悪化は、主にロシアによるウクライナ侵攻を指します。ロシアに対する経済制裁の一環として、主要国が化石燃料の禁輸を進めたことで需給バランスは大きく崩れました。ロシアへの依存度が高かった国を中心に、代替策を模索しなければならなくなったからです。その結果、化石燃料の価格はさらに高騰しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻は、円安の進行にも一定の影響を与えていると考えられています。世界情勢の悪化も、電気代の値上がりが続く原因のひとつといえるでしょう。

電気代の高騰には節約が重要

残念ながら、電気代の高騰がおさまる見通しは立っていません。しばらくは高止まりする可能性が高いといえるでしょう。電気代の負担が重い場合は、節約を心がけることが重要です。電気使用量を減らせば、電気代は基本的に安くなります。まずは、無駄を省くことから始めるとよいでしょう。また、電気代の内訳を理解しておくことも欠かせません。内訳がわかると、最適な電力会社やプランを選びやすくなります。ここからは、節約方法と電気代の内訳について解説します。

電気料金の内訳

電気代は、基本的に以下の項目で構成されます。

【内訳】

• 基本料金

• 電力量料金

• 再生可能エネルギー発電促進賦課金

基本料金

基本料金は、電力の使用の有無にかかわらず発生する料金です。設備費・人件費・機材費などに充てられます。基本料金は、アンペア制と最低料金制にわかれます。アンペア制は契約するアンペア数に応じて基本料金が決まる仕組み、最低料金制はアンペア数に関わらず最低料金が決まっている仕組みです。

電力量料金

電力量料金は、電力の使用量に応じて発生する料金です。電力量料金は以下の2つで構成されます。

【電力量料金】

• 電力料金単価×電力使用量

• 燃料調整単価×電力使用量

電力料金単価は、契約する電力会社やプランで異なります。多くの電力会社は、電力使用量に応じて段階的（3段階）に電力料金単価が高くなる仕組みを採用しています。つまり、電力使用量が多いと電気代は割高になります。

燃料費調整額は、燃料価格の変動にあわせて電気代を調整するための料金です。燃料費調整単価は、毎月見直しが行われ、過去3ヶ月の平均燃料価格をもとに算定されます。算定した燃料調整単価が適応されるのは2ヶ月後の電気代です。

以上の2つを合計した料金が、電力量料金になります。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

電気代には、電力会社が再生可能エネルギーで発電した電力を買い取るための費用の一部が含まれています。これが再生可能エネルギー発電促進賦課金（以下、再エネ賦課金）です。再エネ賦課金は、次の計算式で求められます。

【計算式】

再エネ賦課金単価×電力使用量

再エネ賦課金単価は全国一律です。再エネ賦課金を利用者が負担する理由は、再生可能エネルギーで発電した電力が電気の一部として供給されているからといえるでしょう。支払った再エネ賦課金は、電気をつくった人へ届けられます。

電気代を節約する具体的な方法

電気代はいくつかの工夫で節約できます。検討したい取り組みは次の通りです。

家電を最新機器に買い替える

使用している家電が古い場合、買い替えをすると、電気代の節約につながる可能性があります。技術の進歩によりエネルギーを効率よく使えるようになっているためです。一般社団法人家電製品協会が発表している「スマートライフおすすめBOOK」によると、10年前の家電を買い替えることで、次の節電・節約につながります。

※具体的な省エネ率や節約金額はケースで異なります。

出典：一般社団法人家電製品協会 「スマートライフおすすめBOOK」

古い家電を使い続けている場合は、買い替えを検討するとよいでしょう。条件によっては、節約できた金額で、購入費の大部分を賄えることもあります。

消費電力の高い家電の使い方を見直す

家電の使い方を見直すことによっても、電気代を節約できます。特に消費電力が多い家電の使い方を見直すと、節約につながりやすいでしょう。見直しを進めたい主な家電は次の通りです。

エアコン

一般財団法人日本エネルギー経済研究所が発表している「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると、家庭で消費している電力に占めるエアコンの割合は7.4％です。また、農林水産省が発表している「一般飲食店における省エネルギー実施要領」によると、サンプルとなっている飲食店が消費している電力に占める空調の割合は23％です。家庭・商業施設とも、エアコンは消費電力が多い家電といえるでしょう。エアコンの基本的な節約方法は次の通りです。

【エアコンの節約方法】

• 夏は設定温度を上げ、冬は設定温度を下げる

• 必要なときだけ冷房・暖房をつける

• フィルターをこまめに掃除する

• 運転中はドアの開閉を少なくする

• 室外機の周りにモノを置かない

例えば、外気温が31度のときに冷房の設定温度を27度から28度へ変更すると、年間で約940円の節約になります。

出典：一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」

出典：農林水産省「一般飲食店における省エネルギー実施要領」

出典：省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」

冷蔵庫

「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると、家庭で消費している電力に占める冷蔵庫の割合は16.4％です。「電気機器その他」を除くと、電力消費量の割合が最も高い家電といえます。飲食店や介護施設、宿泊施設などでも一定の電力を消費していると考えられます。冷蔵庫の基本的な節約方法は次の通りです。

【冷蔵庫の節約方法】

• 庫内の設定温度を見直す

• 開閉回数を減らす

• ドアを開けている時間を短くする

• 冷蔵庫は食品を詰め込みすぎない

• 冷凍庫は食品を隙間なく詰める

冷蔵庫と冷凍庫では使い方が異なります。冷蔵庫に食品を詰め込むと、冷気の流れが悪くなるため、余計な電力を消費してしまいます。冷凍庫に食品を詰め込むと、食品同士が保冷しあうため節電（ドアの開閉時に庫内温度が上昇しにくくなる）につながります。これらのポイントを押さえて使用しましょう。

出典：一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」

テレビ

「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると、家庭で消費している電力に占めるテレビの割合は8.9％です。実際の消費電力はライフスタイルで異なりますが、テレビも消費電力が多い家電といえます。店舗などでも、設置台数が多い、あるいは使用時間が長いと無視できない電気代になるはずです。テレビの基本的な節約方法は次の通りです。

【テレビの節約方法】

• 見ていないときはテレビを消す

• 長期間使用しないときは主電源をオフにする

• 省エネモードを利用する

見ていないときにテレビを消すだけでも、節電につながります。テレビは、待機状態でも電力を消費します。長期間使用しないときは、主電源をオフにしましょう。

洗濯機

「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると、家庭で消費している電力に占める洗濯機（洗濯機・洗濯乾燥機）の割合は2.1％です。宿泊施設や温浴施設、病院、介護施設などでは、大きな電力を消費していることもあるでしょう。洗濯機の基本的な節約方法は次の通りです。

【洗濯機の節約方法】

• まとめ洗いを心がける

• 重い洗濯物を下に入れる

• 必要以上の洗剤を使わない

まとめ洗いをすると、洗濯機の使用回数が減るため節約につながります。ただし、容量オーバーになると、汚れを落としきれない恐れがあります。容量の8割程度を目安にしましょう。重いものを洗濯槽の下に入れると、回転効率がよくなるため、電気代を抑えやすくなります。同様に、適量の洗剤もすすぎが少なくなるため、節約につながる可能性があります。

炊飯器

「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると、家庭で消費している電力に占める炊飯器（ジャー炊飯）の割合は2.3％です。飲食店や宿泊施設、病院、介護施設などでは、消費電力が多くなることも考えられます。炊飯器の基本的な節約方法は次の通りです。

【炊飯器の節約方法】

• 食べる時間にあわせて炊き上げる

• 保温時間を短くする

• 使っていないときは電源プラグを抜く

炊飯器を使用するときは、保温時間に注意が必要です。省エネポータルサイトによると、保温時間が4時間を超えると、電子レンジで温めるほうが消費電力は少なくなります。保温時間によっては、電子レンジで温め直すほうが経済的です。

電子レンジ

電子レンジは、上手に活用すると電力消費を抑えられる可能性があります。先ほど紹介した通り、炊飯器で長時間保温するよりも電子レンジで温め直すほうが、消費電力を抑えられます。また、IHクッキングヒーターで食品を加熱するよりも、電子レンジで加熱したほうが節電につながるケースが多いと考えられています。代表的な例として、野菜の下茹でがあげられます。お湯を沸かさなくてよいため、消費電力は少なくなるでしょう。

LED照明を使用する

LED照明に変更することも節約につながります。「平成 30 年度電力需給対策広報調査事業」によると家庭で消費している電力に占める照明器具の割合は13.4％、「一般飲食店における省エネルギー実施要領」によるとサンプルとなっている飲食店が消費している電力に占める照明の割合は30％です。

「スマートライフおすすめBOOK」では、蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングライトへ変更することで約50％の省エネ、約2,110円/年の節約、白熱電球から電球形LEDランプへ変更することで約86％の省エネ、約2,880円/年の節約につながるとされています。店舗などへLED照明を導入すると、大幅な節約につながる可能性があります。

電気を使う時間を見直す

電気料金プランの中には、時間帯によって電気料金単価が変動するものがあります。具体的な条件は電力会社やプランなどで異なりますが、基本的には電気の使用量が少なくなる夜間の電気料金単価を割安にしています。割安になる理由は、電気の需要が減ると電力の仕入れ単価が下がるからです。このようなプランを契約している場合は、電気の使用時間を見直すと節約につながる可能性があります。例えば、電力消費量が多い家電の使用時間を夜間にずらすなどが考えられます。

アンペア数を見直す

主に従量電灯プランでは、契約アンペアによって使用できる電気量と基本料金が決まります。具体的には、契約アンペアが大きくなると、使用できる電気量は大きく、基本料金は高くなります。実際の使用量よりも契約アンペアが大きい場合、見直しにより基本料金を引き下げられる可能性があります。ただし、契約アンペアを小さくしすぎると、アンペアブレーカーが頻繁に落ちてしまうことが考えられます。現在の使用量などを踏まえて、見直しを進めることが重要です。

支払う方法を見直す

支払い方法の見直しも、電気代の節約につながる可能性があります。支払い方法によっては特典を受けられることがあるからです。例えば、電力会社の中には口座振替に対して割引を適用しているところがあります。あるいは、クレジットカード払いで、支払いに応じたポイント還元を受けることも考えられるでしょう。手軽に取り組める電気代の節約方法です。

別プラン・他社に乗り換える

新しい料金プランや電力会社への乗り換えも、電気代の節約方法としてあげられます。電気の使用状況に合わせた料金プランなどを選ぶことで無駄を省けるからです。乗り換えをするときは、電気代が実際に安くなることを確かめておかなければなりません。また、解約にあたり違約金が発生しないことも確かめておく必要があります。期待したほど電気代が安くならない場合は、電気とガスを組み合わせたプラン、電気と携帯電話を組み合わせたプランなどを検討するとよいかもしれません。トータルの割引額を大きくできることがあります。

毎月の電気使用量をチェックする

直接的な節約にはつながりませんが、毎月の電気使用量を確かめておくことも重要です。電気使用量がわかると節約意識が高まります。また、電気の使用のパターンがわかれば、節電に取り組むべきタイミングもつかみやすくなります。毎月の電気使用量は「電気ご使用量のお知らせ（旧一般電気事業者）」、または電力会社のマイページ（旧一般電気事業者以外）で確認できます。

おすすめの電力会社

ハルエネでんき

出典元：https://haluene.co.jp/low-voltage/

「ハルとくでんき」は、さまざまな事業体向けに特化した電力プランを提供するサービスです。このサービスの目玉は、全国どこでも（離島を除く）アクセス可能である点です。これにより、地理的な制限に関係なく、事業所や飲食店など多様なビジネスが利益を得ることができます。また、ハルとくでんきは、顧客の具体的な使用状況に合わせたカスタマイズされた電力プランを提供することで、利用者に最大限の柔軟性とコスト効率を提供しています。

まとめ

化石燃料の価格高騰、国内の電力供給不足などを受けて電気代が高騰しています。現在のところ、改善の兆しは見えていません。このまま高止まりする可能性が高いといえるでしょう。電気代の高騰は、収益性悪化の原因になりえます。コストが気になる事業者は、何かしらの対策が必要です。

基本の対策として、家電などの使い方を見直すことがあげられます。事業所単位で取り組むと、電気代を大きく節約できることがあります。同様に、古い家電や照明の見直しも有効です。ただし、これらには一定の費用がかかります。

さらなる出費を抑えたい場合は、料金プランや電力会社の乗り換えを検討するとよいでしょう。電気の使い方に合っている料金プランなどを選ぶだけで節約につながる可能性があります。この記事の内容を参考に、電気代節約に取り組んでみてはいかがでしょうか。