ECサイトの利益が思うように向上しないとお悩みの担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、利益率を向上したいけれど具体的なアイデアが浮かばないという人に向けて、ECサイトの理想的な利益率目安のご紹介や、利益率向上のための具体的な施策について詳しくご紹介しています。
集客の効率化につながるものや、コストそのものの削減につながるものなど、さまざまな手法をご紹介していますので、ECサイトの利益率向上にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
ECサイトの理想的な利益率目安
ECサイトの利用的な利益率は、おおよそ営業利益率20%程度が理想的だと言われています。これは、EC通販の経営指標に関する法則として「3・3・4の法則」「1・5・4の法則」というものが用いられていることが関係しています。
「3・3・4」の法則とは、商品原価率を3割、販売促進費を3割、その他の経費と利益を4割に収めるのがよいとする法則です。「1・5・4」の法則は、これを1割、5割、4割とする法則で、販売商品によって異なるといわれています。
いずれの法則でもその他の経費を2割と見て、営業利益率は2割とすることが一般的です。
ECサイトのコストの特徴は、この法則でもわかるとおり、販売促進費が3割と高いことにあります。一般小売業の販売促進費は2~3%と言われており、ECサイトが圧倒的に高いことがわかります。これは、ECサイトでは、消費者に商品価値を理解してもらうための説明に多くのコストをかける必要があることを示しています。
またそれに付随して、商品原価を低く抑えて販売促進費を含めて利益を確保できる収益力を確保することが重要だということです。
ECサイトの利益率改善の具体的な方法
では、ECサイトで利用的な利益率を確保するためにできる具体的な方法について、見ていきましょう。
この項では利益率改善に向けた方法として、次の10個をご紹介します。
- 広告費の削減
- 自社コンテンツの発信
- 決済システムの最適化
- 商品パッケージの最適化
- チャットボットの導入
- 受発注システムの導入
- 仕入れ先の分散
- 配送料の価格交渉
- リピーター獲得への注力
- 物流業務のアウトソーシング活用
広告費の削減
1つ目は、広告費を削減する方法です。先ほどご説明した通り、広告費を含めた販売促進費は、ECサイトの主要コストであり、うまく削減できれば、大きく利益率向上に影響します。
一方で過度な削減は売上に大きく影響するコストでもあるため、より効率的に費用対効果の高い状態を作ることが削減のポイントです。リスティング広告などのWeb広告、SNS広告、SEO対策などの実績を分析し、自社のターゲットに合わせた効果的な広告コスト運用を図りましょう。
自社コンテンツの発信
2つ目は、自社コンテンツを発信する方法です。ECサイトにおいては、先ほどご紹介したWeb広告やSNS広告など、外部サービスを利用した広告展開が一般的です。
しかし、これらの広告単価は上昇傾向にありコスト負担は大きくなっています。そこで効果的なのが、自社コンテンツの発信です。ブログやSNSアカウントなどを自社で運用すれば、集客やブランド力の向上を図れます。
Web広告などに比べ即効性はありませんが、運用コストは圧倒的に低くうまく運用できれば、高い集客効果も見込めるため、費用対効果の高い販売促進手段となる可能性を秘めています。
決済システムの最適化
3つ目の方法は、決済システムを最適化する方法です。決済システムはECサイトにとっては必要不可欠なものですが、一方で事業者はサービス利用の際に決済手数料や販売手数料がかかります。
この手数料は決済システムにより利率が異なっています。差額はコンマ数%程度ですが、ECサイトは販売点数も多いため、バカにはできません。プラットフォームによっては、複数の決済サービスを一括導入することで手数料が割引になるケースもあります。
現在導入している決済サービスを個別に契約していたり、手数料が高いと感じていたりする場合には、決済システムの最適化を検討してみましょう。
商品パッケージの最適化
4つ目の方法は、商品パッケージの最適化です。商品パッケージは商品の顔となる部分で、力を入れている企業も多いですがこれを最適化することで、コスト削減につながる可能性があります。
たとえば、パッケージサイズを小さくしたり簡易包装としてゆうパックなどで配送できるようにしたりすれば、輸送コストの削減につながるでしょう。パッケージの梱包が容易な形状に変更できれば梱包が効率化でき、コスト削減につながる可能性もあります。また、できるだけ同一顧客が複数商品を購入した際は同梱するなども工夫できる部分です。
チャットボットの導入
5つ目の方法は、チャットボットを導入することです。チャットボットとは自動会話プログラムのことで、事前に用意した質問と回答を自動的に表示するものや、AIを用いた人工知能型のものがあります。
ECサイト運営では、顧客の問い合わせ対応が多くなりがちで時間・コストがかかります。チャットボットを導入することで、一定レベルの問い合わせは24時間自動的にチャットボットが回答してくれるので、オペレーターの対応量・時間を大幅に削減できます。
顧客にとっても24時間対応で疑問点に即座に回答してもらえるので、顧客サービスの充実にもつながるでしょう。
受発注システムの導入
6つ目の方法は、受発注システムを導入することです。ECサイト運営では、顧客情報や商品情報、決済情報などの受注マスタ情報に加え、在庫管理や仕入れなど膨大なデータの管理が必要です。これらをすべて人の手で行うとなると、人材の確保などさまざまなコストがかかります。
受発注システムを導入することにより、これらの情報を一元管理し共有化できれば、作業負担を減少させ、管理コストの削減につながります。システムの導入コストや運用定着化までにはコストが増えたように感じることもありますが、長期的には効率化によるコスト圧縮やサービス品質の向上につながるでしょう。
仕入れ先の分散
7つ目の方法は、入れ先を分散することです。ECサイトの利益向上のためには、売上の増だけでなく売上原価の低減も重要な課題です。もしECサイトで扱う商品の仕入れを1つの仕入れ先に依存しているなら、複数の仕入れ先への分散を検討してみましょう。
仕入れ先を分散する最大のメリットは、仕入れ先を複数持つことで、より良い条件の仕入れ先から仕入れることができるので、仕入コストの圧縮につながる点です。また、急な需要の増加時にも供給が安定しやすくなる点も仕入れ先を分散するメリットといえます。
配送料の価格交渉
8つ目の方法は、配送料の価格交渉を行うことです。ECサイトにおいて配送サービスは欠かせないもので、売上が多くなればなるほどコスト負担もそれだけ大きくなっていきます。
運送コスト削減に向け、たとえば毎月一定量の配送を依頼するかわりに配送コストを割引してもらう、配達エリアや時間指定を緩和することによりコスト削減するなど、運送会社と配送料について相談してみましょう。また、仕入れ先同様に複数の運送会社を併用し条件のいい運送会社を利用するのも、配送コストの圧縮に有効です。
リピーター獲得への注力
9つ目の方法は、リピーター獲得に注力する方法です。ECサイトにおいては、新規購入者以上にリピート訪問者を増やしていくことが重要です。一般的にリピーターにかかるマーケティングコストは、新規顧客の獲得にかかるそれと比べて10分の1程度といわれています。
また、リピート客のほうが売上も高いと言われており、ECサイトの業績安定化に向けては非常に重要です。リピーターの獲得には、充実した顧客体験と購入後の接点の増加が有効だといわれています。
充実した顧客体験という意味では、自社サイトの使いやすさの向上や決済手段の充実などが有効な対策といえます。また、購入後の御礼メールなどのアフターフォローや、メーリングリスト・LINE登録の活用による囲い込みなど、購入してくれたお客様と常に接点を持つような施策の展開も有効でしょう。
物流業務のアウトソーシング活用
最後にご紹介する方法は、物流業務にアウトソーシングを活用する方法です。物流業務をアウトソーシングすれば、物流に関する作業を外部に任せることができ、自社のリソースを本来集中した業務に集中させることができます。
また、アウトソーシングを請け負う会社は、梱包や配送に関するノウハウを豊富に持っており、自社で行うよりも効率的かつ品質の高い作業が期待できるため、コスト削減だけでなく、サービス品質の向上にもつながるでしょう。
一方で、自社で行うよりも柔軟性がなくなる、ノウハウが蓄積されないなどのデメリットもあります。コスト面や品質面では大きなメリットがあるので、自社の状況に合わせて導入を検討してみてください。
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出典元:https://rpst.jp/
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まとめ
本記事では、ECサイトの利益率の向上をテーマに、
・ECサイトの利益率の目安
・ECサイトの利益率の改善方法
について、詳しくご紹介しました。
ECサイトの運営を成功させるには、売上を増やしコストをいかに抑えるかが重要です。
ECサイトではいわゆる「3・3・4の法則」や「1・5・4の法則」と呼ばれるものがあり、特徴的なコスト構造をしています。これらのコストをいかに効率的に運用し、売上向上や利益率の向上につなげていけるかが非常に重要だといえます。とくにマーケティング費用や運送料などはECサイト運営をしていく上で、必要不可欠なコストで、これを抑えることができれば大きく利益率を向上させることができます。
この記事を参考にしていただき、日頃から自社のコスト状況や利益率に目を向け、コスト削減につなげていきましょう。