入退室管理システムは、オフィスや会議室などの各エリアへの入退室を管理・記録できるシステムです。近年、企業においてコンプライアンスや情報漏洩リスクなどセキュリティの強化は不可避です。また、最近は業種や業態を問わず、ジムや病院などでも取り入れられてきています。入退室管理システムは、機密情報エリアへの入退室権限のコントロールなどに加え、勤怠管理との連携による業務の効率化が図れる点などから、導入を検討する企業が増えています。
そこでこの記事では勤怠管理システムのメリットや導入の際の注意点、選び方などについて、詳しく解説しています。勤怠管理システムの導入でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
入退室管理システムを導入するメリット
ここでは、入退室管理システムを導入するメリットを以下の4つのポイントからご紹介します。
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セキュリティの向上
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情報漏洩の防止
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セキュリティ対策コストの減少
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勤怠管理の簡素化
セキュリティの向上
1つ目のメリットは、セキュリティが向上することです。入退室管理システムはいつ、誰が、どこに入退室したかを管理するセキュリティシステムです。任意に設定した部屋・区画・エリアに対して、入退室できるユーザーに個別に権限を付与することができるため、部外者による不法侵入を防ぐことが可能です。
多くの入退室管理システムはICカードが主流で、たとえば不注意による紛失など、物理的な鍵がない場合でも、システム上で権限を削除することで無効化できる点もセキュリティ面で優秀な特徴です。
また、入退室者の情報や時間などは、すべてシステム上に記録され追跡が可能なため、なんらかのトラブルが発生した場合には、時間帯や発生場所、入退室したメンバーの割り出しなども簡単できるため、状況把握も用意な点もメリットといえます。
情報漏洩の防止
2つ目のメリットは、情報漏洩の防止に役立つ点です。近年、すべての企業においてコンプライアンスの遵守は最重要課題となっています。とくに個人情報や重要な企業情報の漏洩は、SNSなどであっという間に拡散されてしまい、即時に企業イメージの悪化につながってしまいます。
また、マイナンバーをはじめとして情報のデジタル化、デジタル情報活用が活発になってきていることから、これらの情報の厳密な管理が求められています。
入退室管理システムは、エリアや区画ごとに細かく入退室権限を設定できるため、これらのセキュリティ性の高い重要機密のエリアを限定し、特定の担当者のみに入室者を制限することで、大幅に情報漏洩のリスクを低減させることが可能です。
セキュリティ対策コストの減少
3つ目のメリットは、セキュリティ対策コストの減少につながる点です。これまでのアナログな入退室管理では、入退室を記録・監視する人員の確保、物理キーの管理など、さまざまなコストが必要でした。また、この方法では、見落としや物理キーの紛失などのセキュリティ面にもリスクがあります。
入退室管理システムは、ICカードや指紋などの生体認証などで入退室管理が可能なため、人員を雇用する必要もなく、かつ高精度な管理が可能となります。また、監視カメラなどと併用して活用することで、トラブルが発生した際にその原因や関連する人物などを特定も容易です。
結果として、セキュリティ事故に対する対応コストも大幅に削減できる点も大きなメリットといえるでしょう。
勤怠管理の簡素化
4つ目のメリットは、勤怠管理が簡素化されることです。入退室管理システムは、誰が・いつ・どこを入退室したのかを、時間とともに記録しています。つまり、オフィスエリアを指定することで従業員がいつオフィスに入室し、いつ退出したかも正確に把握することが可能ということです。
入退室管理システムの中には、勤怠管理システムと連動できるものも多く、タイムカードなどを利用しなくても、正確な労働時間を把握することが可能になる点はメリットの1つでしょう。
働き方改革が叫ばれる昨今では、休日出勤や残業、休憩時間の取得などもシステム1つで管理でき、デジタルデータ化されるため、人事部門の勤怠管理作業も大幅に削減されるでしょう。
入退室管理システムを導入する際の注意点
上記のようにさまざまなメリットのある入退室管理システムですが、導入する際に注意すべきポイントもあります。
ここでは、以下の2つの注意点について詳しく解説します。
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社員教育の徹底
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ルールの策定
社員教育の徹底
1つ目の注意点は、社員教育の徹底です。他のシステムと同様に、入退室管理システムを導入するにあたっては、社員へ導入の目的や運用方法の説明などを丁寧に行うことが重要です。
なぜ入退室管理システムを導入するのか、どのような区画が設けられているのか、入退室管理システムはどのように利用するのかなど、目的や利用方法を社員にしっかりと説明し、理解してもらいましょう。
また、入退室管理システムの中には、顔認証や生体認証情報を扱うものもあります。そのようなシステムの場合、顔認証データの取り扱いがプライバシーの侵害などにつながる恐れもあるため、社員に同意を得てから利用しなければなりません。
ルールの策定
2つ目の注意点は、ルールの策定です。たとえば、入退室管理の運用方法、カードなどの物理キーを紛失した場合の対処方法、来訪者がいる場合の対応など、あらゆるケースを想定し、ルールを策定する必要があります。
入退室管理システムでよく問題となるのが、いわゆる「共連れ」です。共連れとは、システム解錠者とは別の人が、認証を受けずに入退室してしまう事例のことをさします。共連れをしてしまうと、管理システムには共連れで入室した人の入退室記録は残らず、万が一、なんらかのトラブルが派生しても追跡が難しくなります。
高度なセキュリティエリアなどで共連れをしてしまうと、本来のセキュリティレベルが維持できないことに加えて、情報漏洩のリスクも高まってしまうでしょう。
また、勤怠管理などに活用する場合も共連れにより、就業実態が把握できなくなってしまいます。入退室管理システム導入にあたっては、その目的や効果を念頭にルールを作成し、厳守させることが非常に重要といえるでしょう。
入退室管理システムの選び方
入退室管理システムにはさまざまなタイプがあり、自社の目的にあった最適なシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、入退室管理システムの選び方について、以下の5点から詳しく解説します。
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認証方法で選ぶ
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管理タイプで選ぶ
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システム連携の可否で選ぶ
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コストで選ぶ
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工事が必要か後付けできるかで選ぶ
認証方法で選ぶ
1つ目の選び方は、認証方法で選ぶ方法です。入退室管理システムの認証奉納には主に「暗証番号認証」「ICカード認証」「指紋認証」「静脈認証」「顔認証」などがあり、それぞれ安全性や認証の速さなどに違いがあり、認証方法によるメリット・デメリットがあります。
たとえば、暗証番号認証は導入コストも安く手軽に導入できますが、暗証番号の漏洩等セキュリティレベルは他の認証方法よりも低くなります。
一報ICカード認証は、カードにICチップが埋め込まれており偽造しにくく、セキュリティレベルは高いシステムですが、物理カードを忘れると入室できないなど運用面でのデメリットもあります。
このように、認証方法ごとの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自社に最適なシステムの選定と、運用方法の策定を進めることが重要といえるでしょう。
管理タイプで選ぶ
2つ目の選び方は、管理タイプで選ぶ方法です。入退室管理システムの管理タイプには大きく分けて「クラウド型」と「専用サーバー型」の2つの方式があります。
クラウド型は各システムをネットワークで、クラウド上にあるサーバーとつなげ管理するため、複数拠点で後付けでも設置が可能で、サーバーなどの設備費用も不要なため、初期コストを抑えられるのが最大のメリットです。
一方で専用サーバー型は、独自のサイバーを用意するため初期コストはかかりますが、運用方法に合わせたきめ細かな独自の設定が可能なため細かなセキュリティ区分やエリア区分をしたい場合なども対応でき、拡張性に優れている点がメリットでしょう。これらの特徴を理解した上で、自社にあったタイプを選ぶようにしましょう。
システム連携の可否で選ぶ
3つ目の選び方は、システム連携の可否で選ぶ方法です。最近の入退室管理システムは、さまざまなシステムと連携できるものが多くあります。
たとえば、勤怠管理システムと連動することで、労務管理の効率化や精度アップにつながります。勤怠管理などの労働時間の把握は、2019年4月の労働安全衛生法の改正により、企業に義務付けられており、入退室管理システムによる客観的な記録による管理が有効です。
また、監視カメラのセキュリティシステムや設備管理システムなどと連携することで、光熱費などのコスト削減につなげることも可能でしょう。
コストで選ぶ
4つ目の選び方は、コストで選ぶ方法です。入退室管理システムには、電子錠のものやスマートロックのもの、他のシステムとの連携ができるものなど、さまざまなものがあり、導入コストもさまざまです。
たとえば、電子錠などであれば配線工事なども不要で本体機器を設置するだけで、簡単に導入することが可能です。
また、クラウド型サーバーを利用したものであれば、自社でサーバーを設置する必要がなく、比較的導入コストは抑えられます。導入コストがかけられるかどうかで選ぶのも、選び方のひとつでしょう。
工事が必要か後付けできるかで選ぶ
最後にご紹介する選び方は、工事が必要か後付けできるかで選ぶ方法です。入退室管理システムの導入に工事が必要かどうかは、認証方法や建物・扉の形状などによって変わります。制御装置やリーダーの設置、扉の電気錠への交換などの工事が必要になるケースでは、導入コストが高くなる傾向にあります。
また、工事が必要となるケースでは、段階的に複数拠点に導入する場合にそれぞれの拠点で工事が必要となるため、手間やコストがかかります。入退室管理システムを選ぶ際には、導入する拠点数やタイミングなども考慮した上で、工事の要不要でも検討してみるとよいでしょう。
入退室管理システム(スマートロック)のおすすめサービス
スマートロックAkerun(アケルン)
出典元:https://akerun.com/
まとめ
今回の記事では、入退室管理システム導入のメリットや注意点、選び方などについて、詳しく解説しました。近年はコンプライアンス遵守、情報資産の管理に関する企業への目線は非常に厳しくなっています。
入退室管理システムは、自社のセキュリティ管理制度の向上に非常に有効なシステムであり、さまざまな情報を取り扱う企業にとってはなくてはならないものになりつつあります。また、入退室管理システムには、勤怠管理や生産管理などと連携し、企業全体の管理効率を向上させ、コスト削減につながる機能を持つものも多くあります。近年は企業以外でも、ジムや病院などでも導入されており、今後、さらなる広がりを見せると予想されます。
この記事を参考に、ぜひ自社にあった入退室管理システムを導入してはいかがでしょうか。