宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）の経費を削減するコツとは？

宿泊施設にとって、宿泊施設の運営にかかる経費をどれだけ抑えるかは、利益に直結する重要な課題です。宿泊施設は1日に利用される室数が決まっているため、売上高にはある程度上限値があります。また、季節によって繁閑の差が出るため、毎月発生する経費を削減することは、施設運営の安定化という面でも重要です。

一方で無理な経費削減がお客様やスタッフに影響しやすいのも宿泊施設の特徴であり、なかなか経費削減が進まないとお悩みの経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減のコツや注意点について、詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減のコツ

ここでは、宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減のコツについて、以下の12個をご紹介します。

• 賃料削減の交渉を行う

• 保険内容の見直しを行う

• インターネットプランの見直しを行う

• 可能な限りオートメーション化を行う

• 水道光熱費の契約を見直しする

• 客室・浴場のシャワーヘッドを節水機器に取り換える

• 清掃業者の切り替えを行う

• アメニティは必要な方にのみ提供する

• 未稼働の客室のリネン交換を控える

• SNSで集客を行う

• リース契約を利用しない

• ポータルサイト依存を脱却する

部屋数によって、1日であげられる売上に上限のある宿泊施設では、コスト削減によりどれだけ利益を残せるかが非常に重要です。ご紹介するコツを参考に、自店舗にあったコスト削減策を検討してみてください。

賃料削減の交渉を行う

1つ目のコツは、賃料削減の交渉を行うことです。賃料は宿泊施設の経費の中でも大きな割合を占め、とくに都市部では土地価格が高いことから家賃も高額となるケースがほとんどです。

賃料は固定費だからと削減を諦めてしまっている経営者の方も多いですが、実のところ賃料は契約内容や市場状況によって変動するものであり、定期的な見直しをすることで削減できる余地はあります。

たとえば、契約期間を長期化することで家賃を引き下げられる可能性があります。不動産主からすれば、長期契約は収入の安定につながるため、交渉に応じてもらえる可能性は高くなるでしょう。市場価格や建物の築年数による価値下落などを調査し、交渉に臨むのも有効な手段です。

また、契約内容を確認してみると、支払っている家賃には純粋な家賃以外にも、管理費や修繕積立金などが含まれているケースがあります。これらの項目に限定して交渉するのもいいでしょう。

これらの交渉をうまくまとめるコツは、家賃交渉を専門とする業者に依頼することです。個別の交渉では、そもそも取り合ってもらえなかったり、足元を見られてしまったりすることも少なくありません。家賃交渉業者に依頼することで成功率はかなり高くなるため、有効活用してください。

保険内容の見直しを行う

2つ目の経費削減のコツは、保険内容の見直しを行うことです。宿泊施設は、火災や水漏れ、地震による損壊などさまざまなリスクが高く、また、お客様に被害が及ぶ可能性もあることから、保険に加入していることがほとんどです。

しかし、保険は当初の加入から放置していると、必要以上に高額な保険料を払っている可能性もあります。保険料の削減や保証内容の適正化のためにも、保険内容を見直しましょう。

まず、保険の種類や保証内容、保険料、更新期間などを把握し、保証内容が適正化を確認します。過度な保証内容を見直すだけでも、保険料が大きく下がる可能性があるでしょう。また、保険会社の変更も視野に入れましょう。保証内容を決めたら、複数の保険会社に見積もりをとり、比較検討します。

保険料は保険会社が自由に決められることになっており、同じ保証内容でも保険料が大きく異なることも少なくありません。場合によっては、複数の保険を乗り換えることで50％程度保険料を抑えることも可能ですので、ぜひ保険の見直しを検討してみてください。

インターネットプランの見直しを行う

3つ目の経費削減のコツは、インターネットプランの見直しを行うことです。近年では無料Wi-Fiなどのインターネットサービスは必須となっています。加えて、予約システムなど今後のDXやIoT化による宿泊施設の運営効率化においてもインターネットは欠かせません。

何年も前に契約プランをそのまま放置していると、インターネット料金が高額となっているだけでなく、通信速度など能力面でもコストパフォーマンスの低いものになっている可能性があります。まずは自社に必要なインターネット環境を検討し、能力にあった契約への見直しを検討しましょう。

また、最近では飲料メーカーの自動販売機を設置する際に、インターネット回線の契約料金を負担してもらえたり、電気・ガス会社を乗り換えることでインターネットを無料にしてもらえたりするなどのサービスも存在します。利用には、適用条件や審査が必要な場合もありますが、うまく活用できればサービス品質を落とすことなく、コストを削減することもできます。

Wi-Fiのおすすめサービス：BizAir（ビズエア）

出典先：https://mobile.bizplus.jp/bizair/

BizAir+5Gは、5G対応端末を利用して高品質なインターネット接続を提供するサービスです。このサービスは、接続台数が多く、最大で40回線の同時接続に対応しています。また、Wi-Fiを積極的に利用することで、モバイルオーダー率が向上することが期待されています。

可能な限りオートメーション化を行う

4つ目の経費削減のコツは、可能な限りオートメーション化を行うことです。宿泊施設において人件費はコストの大きな割合を占めています。一方で、人員の無闇な削減はサービスの品質を落としてしまいかねず、悩んでいる経営者も多いでしょう。

そこでおすすめなのが、オートメーション化を行うことです。代表的なのが、チェックイン/チェックアウトの自動化です。フロント付近に機械を設置し、チェックイン・チェックアウトを自動化できれば、フロント業務を大幅に圧縮できるので、コスト削減につながります。

チェックイン/チェックアウトの自動化は、業務の効率化以外にも従業員のミスの抑制やお客様の待ち時間解消など、お客様満足度の向上にもつながるのでおすすめです。その他にも、季節ごとの宿泊需要や予約状況などを踏まえた宿泊料金設定の自動化やオンライン予約システムの自動化も有効です。

宿泊料金設定の自動化は収益の最適化の面でも有効であるなど、業務のオートメーション化はコスト削減以外にもさまざまな効果をもたらすものですので、積極的に進めましょう。

水道光熱費の契約を見直しする

5つ目の経費削減方法は、水道光熱費の契約を見直すことです。水道光熱費は、宿泊施設において大きな部分を占めるコストのひとつです。しかし、水道光熱費は各客室の照明、冷暖房、シャワー、トイレを始め、厨房などさまざまな設備で使用しますが、無理なコスト削減はお客様満足度に影響するため、使用量そのものを減らすには限界があります。

そこでおすすめなのが、水道光熱費の契約を見直す方法です。最近では、電気、ガスは自由化が進んでおり、電力会社・ガス会社以外にもさまざまな事業者がサービス提供をしています。使用料金が割安な事業者への乗り換えや、自社施設にあったプランへの変更などによって、大幅なコスト削減も可能です。

契約の見直しは自社で行ってもいいですが、コンサルティング会社などを利用するのもおすすめ。コンサルティング会社なら最適なプランの提案や、競争入札の実施など自社では難しいレベルのコスト削減を実現してもらえます。依頼にかかる費用も、完全成果報酬にて実施してくれるところも増えています。

おすすめの電気代削減サービス：ハルエネでんき

工場やオフィスビル向け高圧電力サービス

出典元：https://haluene.co.jp/high-voltage/

ハルエネの高圧電力サービスは、特に中小規模の工場やオフィスビル向けに設計されています。このサービスは、大規模な電力消費を伴う法人や経営者に最適で、安定した電力供給とコスト削減を同時に実現することを目的としています。電力の品質を維持しつつ、効率的な料金体系を通じて経済的なメリットを提供することが、このサービスの重要な特長です。

オフィスや飲食店・小売店向け低圧電力サービス

出典元：https://haluene.co.jp/low-voltage/

「ハルとくでんき」は、さまざまな事業体向けに特化した電力プランを提供するサービスです。このサービスの目玉は、全国どこでも（離島を除く）アクセス可能である点です。これにより、地理的な制限に関係なく、事業所や飲食店など多様なビジネスが利益を得ることができます。また、ハルとくでんきは、顧客の具体的な使用状況に合わせたカスタマイズされた電力プランを提供することで、利用者に最大限の柔軟性とコスト効率を提供しています。

おすすめの水道代削減サービス：次世代節水装置JET

出典元：http://www.jet-leisure.net/

「次世代節水装置JET」は、水の使用量を大幅に削減し、それに伴い水道料金の節約を実現することを目指して開発された革新的な製品です。この装置は、世界6カ国で特許を獲得した革新的な技術を採用しており、その中心となるのが空気混入型節水アダプターと蛇口用通水アダプターの技術です。この2つの技術の組み合わせにより、従来の節水装置に比べて大幅な水の使用量削減を実現しつつ、使用感を損なうことなく水を供給します。このようにJETは、環境保護と経済性を両立するための理想的な解決策として設計されています。 

客室・浴場のシャワーヘッドを節水機器に取り換える

6つ目のコスト削減のコツは、客室・浴場のシャワーヘッドを節水機器に取り換える方法です。宿泊施設の中でも負担の大きい水道料金の大部分は、客室や浴場で使用されるシャワーなどによるものです。ただ、水道代は電気やガスと異なり、地域ごとに決まった水道事業者との契約をしなければなりません。そのため契約の見直しによるコスト削減は望めず、使用量を抑える必要があります。

そこでおすすめなのが、節水型のシャワーヘッドの導入です。節水型のシャワーヘッドは設置するだけで、シャワーで使用する水量を大幅に削減することができます。

節水型のシャワーヘッドは、水流を細かく分散させることで、少ない水流でも十分な水圧や洗浄感を維持でき、肌触りもやわらかいのでお客様の快適さを損なうことなくコスト削減可能です。

おすすめの節水シャワーヘッド：エコアクアシャワーSPA

出典元：https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/s/ecoaquaspa-sp/

特徴

1. 多機能シャワーヘッド
   肌に優しい「シルクミスト」、リズミカルな「パワーマッサージ」、空気を含んだ「アクアスプレー」の3つの吐水モードを提供。
2. デザイン
   大きめなヘッドにメッキ仕上げで高級感があり、シンプルなデザインで浴室に馴染みやすい。
3. 節水効果
   空気をたっぷり含んだ肌当たりの良い大粒の水滴で、35％～48％の節水効果・省エネ効果を実現。

メリット

1. 節水・省エネ：35％～48％程度の節水効果・省エネ効果。
2. 返品保証：30日間の返品保証があり、購入後の安心感を提供。
3. 保証期間：2年間のメーカー保証付き。
4. 設置サービス：取り付けが不安な場合、LIXILによる訪問取付サービスが利用可能。

エコアクアシャワーSPAは、美容室などの業務用にも適しており、節水効果と快適な使用感を兼ね備えています。これにより、コスト削減と顧客満足度の向上を実現することが可能です。

清掃業者の切り替えを行う

7つ目の経費削減のコツは、清掃業者の切り替えを行うことです。清掃費用は、宿泊施設において欠かせない要素で、外部業者に委託している場合も多いはずです。エアコンのメンテナンスなども、切り替えを検討する対象になります。開業当初からの慣習で取引を続けているという場合には見直すことで、大幅にコスト削減が可能かもしれません。

また、清掃業務の内製化もコスト改善には効果的です。スタッフ業務の棚卸しによって発生した手待ち時間などの有効活用ができれば、委託費を削減できるかもしれません。

この際、単に内製化の体制を整えるだけではなく、清掃業務の見直しを同時に行うのが重要です。清掃頻度の見直しやエコ清掃の導入、客室冷蔵庫内のミニバーの廃止、アメニティの絞り込みなど、できるだけ清掃業務を簡略化できないかを検討しましょう。

ただし、無闇なサービスの絞り込みはお客様満足度の低下につながる恐れもあるため、顧客ニーズを踏まえたうえで、慎重に判断するようにしてください。

アメニティは必要な方にのみ提供する

8つ目の経費削減のコツは、アメニティを必要な方のみの提供にすることです。歯ブラシや髭剃りなどは、お客様ご自身で持ち込まれているケースも増えてきており、ホテル客室に設置している歯ブラシや髭剃りなどのアメニティを必要な人のみに絞り込む方法です。

たとえば、フロントで必要な方のみに渡す、フロント前で必要分をお客様にとってもらうといった方法をとることで、10％以上のコスト削減に成功した事例もあります。加えて、先程ご紹介したアメニティの交換など、客室清掃の効率化にもつながるため、人件費や外注費の削減にもつながります。

交換くらいと思われる方もいますが、1室につき1分しかかからない作業でも、100室あれば、1日あたり100分、1か月で50時間もの改善につながるので、バカにはできません。

未稼働の客室のリネン交換を控える

9つ目の方法は、未稼働の客室のリネン交換を控える方法です。リネン交換もホテルのコスト負担の大きな業務です。未稼働の客室はそもそも交換が不要ですが、リネン交換作業やリネン在庫量の管理を委託業者に任せきりにしていて、無駄が発生している施設も少なくありません。もちろん不足するようなことがあってはいけませんが、厳密に管理し無駄を省くことでコスト削減につながります。

また、連泊でリネン交換不要のプラン、バスタオル不要のプランなどの販売もアイデアのひとつです。お客様側はお得なプランが利用でき、宿泊施設側でもリネン交換コストを抑えられるので、一石二鳥になります。

ただし、アメニティや清掃と同様にリネン交換も、お客様に過ごしていただくためには重要な要素です。コスト削減に集中するあまり無理な削減をしてしまうと、お客様満足度を下げる結果となってしまうので、本来の目的を忘れず慎重に検討するようにしてください。

SNSで集客を行う

10個目の経費削減のコツは、SNSで集客を行う方法です。宿泊施設は利用者を増やすために、広告宣伝に力を入れているところも多いはずです。もちろん、集客施策において広告宣伝は有効な手法のひとつですが、コストをかけたとしても、それに見合った効果が保証されているわけではありません。

そこで新たな集客方法として、SNSでの集客を導入してみるのもいいでしょう。SNS集客は、LINEやTwitter、インスタグラムなどで、公式アカウントを立ち上げ情報発信することで、集客を図る手法です。

SNSプラットフォームは、その多くが無料であり、多くの人々に広範囲にメッセージを伝えることが可能です。Instagramでは写真や動画の投稿が主体で、ホテルの雰囲気や内容、サービスなどを視覚的にアピールしやすく、集客につなげやすい媒体といえます。

また、双方向のコミュニケーションが可能な点もSNS集客の特徴です。フォロワーとのコミュニケーションを起点に、ファン化やリピーター化できるのもSNSの強みといえるでしょう。

リース契約を利用しない

11個目の経費削減のコツは、リース契約をしようしないことです。リース契約は基本的に、同じものを購入するのに比べて割高になる傾向になるため、おすすめできません。宿泊施設では、リネン材やタオルや浴衣などロゴ入りのものを制作し、リースしている業者も少なくありません。

リース契約のデメリットは、中途解約ができないこと。契約期間中は、数量の調整や価格交渉も削減もできないため、コストの無駄が大きく発生してしまいます。また、一般価格に比べて総額では割高です。

交換・メンテナンス作業も他の業者へ依頼することでリース契約と同様に、手間をかけず管理でき、コスト面で有効でしょう。ロゴなどを入れない汎用品にしておけば、複数の商品で比較して自社にあったものを選択できますし、価格交渉も可能です。現在、リース契約を行っているのであれば、見直しを検討してみてください。

ポータルサイト依存を脱却する

最後にご紹介する経費削減のコツは、ポータルサイト依存を脱却する方法です。ポータルサイトは、独自のキャンペーンやクーポン配布などもあり、集客面では非常に強力なツールです。

一方で集客の際に発生するOTA手数料の負担、他の宿泊施設との価格競争に巻き込まれやすいなどのデメリットがあります。OTA手数料は、一般的に6～15％程度となっており、加えて価格競争に対応するとなると、自社の利益はどんどん圧迫されてしまいます。ポータルサイト依存から脱却すればそのままその分利益が残るため、積極的に削減を意識すべきです。

そのためには、自社の独自サイトを立ち上げ、集客する方法が効果的です。近年ではポータルサイトで探した宿泊施設について、自社サイトの価格と比較するユーザーも増えてきていて、自社サイトからの予約が一番安くお得なベストレート保証を設定することで、自社サイトに誘導するのも用意になってきています。

加えて、自社ホームページのデザインをより魅力的なものに変更する、予約フォームを入力しやすいように変更するなど、少しでも予約率があがる工夫を加えましょう。

宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減の注意点

ここまで、宿泊施設における経費削減のコツについて、お伝えしてきました。しかし、経費削減への取り組みはアプローチを間違えると、顧客満足度の低下や従業員の負担増といった問題につながってしまうリスクもはらんでいます。

そこでここでは、宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減の注意点について、以下の4点から詳しく解説します。

• 顧客満足度の低下を防ぐ

• サービスの質を低下させない

• 従業員の負担増となる施策をしない

• 長期的な視点で計画を立てる

顧客満足度の低下を防ぐ

1つ目の注意点は、顧客満足度の低下を防ぐことです。コスト削減によって、自社のブランドイメージが損なわれるようなことがあれば本末転倒であり、重要なのは顧客満足度の低下を防ぎながらどの経費をどの程度、どのように削減するかを検討することです。

たとえば、コスト削減のためにリネンの品質を落としたりしてしまうと、高い品質を求めているお客様はがっかりしてしまうなど、お客様満足度の低下につながってしまいます。一方で、電気代の削減のため、お客様の理解を得ながら節電設計にしていくと、環境に配慮した宿泊施設として、逆にブランド力の向上につながる可能性もあります。

つまり、経費削減においてはお客様が自社の宿泊施設に求めているものやイメージを踏まえながら、検討していくことが重要だということです。お客様のニーズや期待を裏切らないように、慎重に検討したうえで効果的な経費削減方法を実行するようにしてください。

サービスの質を低下させない

2つ目の注意点は、サービスの質を低下させないことです。宿泊施設にとって、サービスの質は、ブランド価値や顧客満足度に直結する要素です。コスト削減のためにサービスの質を低下させてしまうことは、短期的には効果があるかもしれませんが、長期的に見れば損失につながる本末転倒なものといえます。

とくに気をつけたいのが、スタッフの教育やトレーニングにかかわる費用です。これらの費用を削減してしまうと、顧客に対する接客品質を習得する機会を奪うことになるため、サービスの質の低下につながってしまいます。

従業員の負担増となる施策をしない

3つ目の注意点は、従業員の負担増となる施策を行わないことです。スタッフに過度のストレスや負担を強いるような経費削減をしてしまうと、その影響が組織全体にまで波及し、中長期的に見ると経営に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

たとえば、スタッフ数の削減による人件費の圧縮をした場合、残った従業員に過度の負担を強いる可能性があります。過度な負担は、従業員の集中力や判断力の低下につながってしまい、サービスのクオリティを下げることにつながるかもしれません。また、空調の抑制など過度な労働環境の悪化を伴う経費削減も同様に、従業員のモチベーション低下やサービスのクオリティ低下につながってしまいます。

これらは最悪の場合従業員の離職を招く可能性もあり、そうなれば新たな人材の採用や教育のコストが必要となるなど、経費削減とは逆効果になってしまう可能性もあるものです。

こうした問題をさけるためにも、経費削減においては従業員への影響にも十分に配慮し、業務の効率化や自動化なども含め、従業員の負担増への対策と合わせて慎重に判断する必要があるでしょう。

長期的な視点で計画を立てる

4つ目の注意点は、長期的な視点で計画を立てることです。経費削減は短期的な効果を意識して取り組む場合が多いですが、同時に長期的な影響も踏まえて検討することが重要です。

たとえば、業務効率化のためのシステム購入や省エネルギー設備の導入などがそれにあたります。これらは初期投資が必要なため、短期的な経費削減にはつながりませんが、業務効率化による人員の圧縮や、サービス品質の向上に伴う売上増、エネルギー使用量の削減など長期的な視点では大きく経費削減につながることもあります。

経費削減は一時的な目標の達成だけでなく、長期的な戦略として検討し、サービスの品質の維持と従業員のモチベーションなど、さまざまな要素を踏まえて実行するようにしてください。

まとめ

今回の記事では、宿泊施設（ホテル・旅館・温泉）における経費削減のコツ12個と注意点について、詳しく解説しました。1日の売上高がある程度決まっている宿泊施設の運営において、経費削減は利益増のための重要な課題といえます。

一方で経費削減を無理に進めることで、施設のサービスクオリティの低下や従業員のモチベーション低下、お客様満足度の低下につながる可能性もあります。経費削減に取り組む際には、削減による効果と影響を十分に考慮したうえで取り組むことが重要といえるでしょう。この記事を参考に、自社の宿泊施設にあった経費削減策を検討してみてください。