「水道料金の値上げで経費がかさんでいる」「値上がりが続く理由を教えてほしい」などと考えていませんか。事業に影響を与える深刻な課題と捉えている方もいるでしょう。水道料金の値上がりが続いている主な理由は水道事業者の財源不足です。不足した財源を補うため水道料金の値上げを続けています。
ここでは、水道料金値上げの背景を詳しく解説するとともに、今後の見通しや水道料金を節約する方法などを解説しています。値上げの理由や具体的な対処法が気になる方は参考にしてください。
水道料金が値上がりしている主な理由は次の4つです。
【値上がりの理由】
これらを背景としつつ水道料金は値上がりを続けています。公益社団法人日本水道協会が発表している資料によると、令和2年における家庭用水道料金の全国平均は10立方メートルあたり1,564円です。平成22年は10立方メートルあたり1,442円、平成12年は10立方メートルあたり1,450円、平成2年は10立方メートルあたり1,224円でした。[1]多少の上下はあるものの、着実に値上がりしているといえるでしょう。具体的に、どのような理由で値上がりを続けているのでしょうか。
水道事業は、独立採算制を原則としています。各事業者が、水道料金(給水収益)収入を主な財源として事業を展開しているのです。具体的な水道料金収入は事業者により異なるものの、総じて減少傾向とされています。
例えば、大阪府吹田市の水道料金収入は平成7年の72億円から54億円(平成27年)まで下落、宮崎県日向市の水道料金収入は平成10年の11億2,500万円から9億7,600万円(令和2年)まで下落しています。ちなみに、吹田市は平成28年に水道料金の値上げを実施しました。平成29年の水道料金収入は60億円に回復しています。
水道事業の運営には、浄水場・配水場・水道管など、さまざまな施設・設備が欠かせません。これらの維持・管理に莫大な費用がかかります。水道事業者の課題としてあげられるのが、水道料金収入が減少してもこれらの費用は大きく減少しないことです。つまり、水道料金収入が減少する中、設備・施設を維持管理するため以前と同規模の支出を行う必要があります。
大規模地震をはじめとする自然災害に備えるため、耐震化や設備の更新などを求められている点も見逃せません。一部の水道事業者は、不足する財源を企業債(借金)、過去の利益などに求めています。借金などに頼り続けることもできないため、水道料金の値上げを行っているのです。
では、水道料金収入はなぜ減少しているのでしょうか。主な理由として、国内における水道水使用量の減少があげられます。公益財団法人日本水道協会が発表しているデータによると、年間給水量のピークは平成9年の170.62億立方メートルです。
以降は減少を続け、平成17年には164.17億立方メートル、平成27年には151.16億立方メートル、令和2年には150.31億立方メートルまで減少しています。ちなみに、統計などにおける給水量は、所定の区域に給水した実績水量を表します。
ここで気になるのが、水道水使用量の減少を招いている原因です。主な原因として、病院や商業施設などの大口使用者で、自家用水道(地下水を移用した専用水道)への切り替えが進んでいることがあげられます。多くの事業者や家庭に節水機器が普及した影響も見逃せません。
吹田市の発表によると、節水機器の普及などを受けて2022年までの15年間で市民1人が使用する水道水の量は、259リットル/日から240リットル/日に減少しています。わずかな量に思えるかもしれませんが、市全体・年単位で考えると大きな減少になるでしょう。
以上に加え、今後は人口減少の影響も大きくなると予想されています。これらの原因などにより、水道水使用量および水道料金収入の減少は起きているのです。
財源不足に大きな影響を与えているのが水道設備の老朽化です。財務省が発表している資料によると、令和2年度における総管路延長に対する法定耐用年数を経過した管路延長(導水管・送水管・配水管)の割合は20.7%です。平成23年度の同割合が8.9%であったため、急速に老朽化が進んでいることがわかります。
ちなみに、管路経年劣化率(老朽化)は都道府県で異なります。平成27年度末時点で最も割合が高かったのは、28.3%の大阪府、次に割合が高かったのは21.7%の神奈川県、その次に割合が高かったのは20.5%の山口県です。
老朽化した設備は脆弱になるため、漏水や自然災害に伴うトラブルのリスクが高くなります。早急に更新などの対策を講じなければなりません。更新費用の増大は、財源不足ならびに水道料金値上げの原因といえるでしょう。ただし、令和2年度の管路更新率は0.7%です。現在のところ、老朽化の進行に追い付いていません。各事業者が水道設備の更新に取り組むと、値上げ圧力はさらに高まる可能性があります。
水道事業は原則として市町村が運営しています。水道料金には小さくない地域差があります。主な原因は、市町村による個別の事情です。水道料金は、総括原価(水道事業の運営に必要な経費)をもとに決定します。つまり、総括原価に見合った水道料金になるのです。
総括原価は、集金関係費・量水器関係費などで構成される需要家費、維持管理費・減価償却費などで構成される固定費などの合計です。各費用は市町村で異なります。例えば、水源取得地域が離れている市町村は水道管の距離が長くなるため維持管理費などが高くなると予想されます。人口が少ない地域は、人口が多い地域よりも値上がりの幅が大きくなるでしょう。このような地域差も、水道料金値上がりの原因になりえます。
多少の変動はあるものの、水道料金は右肩上がりで上昇を続けています。今後もこの傾向は続くのでしょうか。ここまで説明してきた通り水道料金値上げの主な原因は、水道料金収入の減少と水道設備更新費用の増大などに伴う財源不足です。水道料金収入の減少は、水道水使用量の減少により引き起こされています。2065年の有収水量(料金収入を得られる水量)はピーク時の6割とする試算もあります。
出典:財務省「老朽化と料金体系が水道料金に与える影響」
現在のところ、これらの課題を解決する見通しは立っていません。水道水使用量の減少は、人口減少とともに加速する恐れがあります。水道設備更新費用も、管路更新率が高まると増大するでしょう。前述の通り、令和2年度における管路更新率は0.7%です。大規模な自然災害に備えて、水道設備の更新、耐震化が求められている点も見逃せません。以上を踏まえると今後も水道料金の値上げは続くと考えられます。
EY新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局が発表している資料によると、2043年までに水道料金の値上げが必要と推計される事業者は分析対象全体の94%、値上げ率の推計は43%です。水道料金の地域差は、9.1倍から24.9倍に拡大すると予想されています。現在よりも厳しい環境になる恐れがあります。
水道料金は今後も値上がりを続ける恐れがあります。どのような対策を講じればよいのでしょうか。
基本の対策は、これまで以上に節水意識を高くすることです。事業者の場合は、スタッフ全員の意識を高くすることが重要といえるでしょう。例えば、ミーティングで毎月の水道料金を報告して節水を求める、水回りに節水を呼びかける掲示物を貼るなどが考えられます。
ただし、これらの対策だけでは何をすればよいかがわかりません。具体的な対策を提案することも大切です。飲食店であれば、食器のつけ置き洗いを導入するとよいかもしれません。事前に大きな汚れや油汚れを取り除いておくと、さらに節水につながる可能性があります。食器のすすぎをまとめて行うことも有効です。洗うときに水の出しっぱなしを防げます。
水道の使用量を減らしたいときに検討したいのが節水機器の導入です。節水機器は「必要以上の水消費を抑制する機器」といえるでしょう。代表的な節水機器として、節水コマがあげられます。コマは蛇口内に取り付ける樹脂製またはゴム製の部品です。ハンドルの開閉と連動して上下することにより水の流量をコントロールします。通常のコマを節水用のコマへ変更することで、蛇口を開いたときに水の流量ならびに吐水量を抑制できます。節水を意識していなくても、水の使用量を抑制できる可能性がある点が魅力です。
出典元:http://www.jet-leisure.net/
次世代節水装置JET(ジェット)は、水の使用量を削減し、水道料金を節約するための製品です。以下はJETの概要です。
特許と技術: JETは、世界6カ国で特許を取得しており、空気混入型節水アダプターと蛇口用通水アダプターの技術を採用しています。
節水機能: この装置は、蛇口やシャワーに取り付けることで、最大50~30%の節水を可能にします。空気混入技術により、水量を減少させつつも快適な使用感を保持しています。
分析と導入実績: 日本食品分析センター、日本総合住生活株式会社、早稲田環境研究所などの第三者機関による製品分析が行われており、全国で15000以上の施設や店舗に導入されています。
利用者の満足度: JETは25万個以上の取り付け実績があり、利用者からの高い満足度を得ています。
コストと導入: 初期費用や施工費は0円で、削減された水道料金からの支払いで導入が可能です。また、装置のレンタルも同様に0円です。
メンテナンス: JETはメンテナンスフリーで、使い心地にもこだわりがあります。
他にも、自動水栓や手元一時止水機能付きシャワーヘッドなど、節水を実現するための様々な製品が市場には存在しますが、JETは特にその節水効果と使い心地のバランスが評価されている製品です。
全国的に水道料金の値上げが続いています。主な原因は、水道事業者の財源が不足していることです。その理由として、水道水使用量減少に伴う水道料金収入の減少と水道設備の老朽化による更新費の増大があげられます。水道水使用量と水道料金収入は、大口使用者で自家用水道への切り替えが進んでいること、事業者や家庭で節水機器の導入が進んでいることなどで減少しています。人口減少の影響が大きくなりつつある点もポイントです。
これらの課題は解決の見通しが立っていません。水道料金の値上がりは、今後も続く可能性が高いと考えられます。負担を感じる場合は、今から何かしらの対策が必要です。節水意識を高めるとともに使用環境に合わせた節水機器の導入を検討してみてはいかがでしょうか。