そこでこの記事では、成功した経営者がやってよかったとオススメの経営ノウハウを5つご紹介します。
1つ目にご紹介する経営ノウハウは、タスク管理とその重要度を分類することです。経営者をはじめとしたビジネスパーソンの多くは、多くのタスクを限られた時間の中で数多くこなしていくことが求められます。
このような場合に役立つノウハウが「アイゼンハワー・マトリックス」です。アイゼンハワー・マトリックスでは、一つひとつのタスクを緊急性と重要性の2つの軸で、以下の4つに分類します。
緊急かつ重要なタスク…緊急度も重要度も高く最優先で取り組む
重要だが緊急ではないタスク…スケジュールを組み着実に取り組む
緊急だが重要ではないタスク…他社への委託など効率化を図る
どちらでもないタスク…タスクの必要性の検証や削減を検討する
上記のようにタスクを分類・整理することで、タスクの優先度や取り組み方針を見える化しておけば、より効率的にタスク処理をすることができます。
この際に重要なのが②・③のタスクです。②重要だが緊急ではないタスクは、たとえば自己啓発や中長期の事業計画策定などがこのタスクにあたります。これらの業務は短期的な影響度は低いものの、確実に取り組まなければ将来の成果につながらないものです。
緊急度が低いことから後回しになってしまうことが多いタスク分類でもあるため、しっかりと計画を立て着実に実行していくことが重要なタスクといえます。
③緊急だが重要ではないタスクは、日々の活動日報や会議などがこのタスクにあたります。この分類のタスクは、緊急度が高いためにそれを重要だと錯覚しやすいのが特徴です。しかし、実際の重要性は高くないため、手を取られ過ぎると生産性が落ちてしまいます。
この分類のタスクは、効率的なタスク処理の方法を検討する、他社へ委任するなどできるだけ他の分類のタスクに時間を割けるようにする必要があるでしょう。
2つ目にご紹介する経営ノウハウは、組織改革の7つのSについてです。組織マネジメントは企業の経営資源の有効活用において非常に重要な課題であり、解決には思い切った改革が必要となるケースがほとんどです。
一方で経営者の思い込みのみで行うと偏った対策になってしまうなど、効果的な対策にならないケースもあります。こういった組織改革を大胆かつ効率的に行う方法として、有用なのが7つのSというフレームワークです。
7つのSはコンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱したフレームで、組織を構成する要素を表しています。
戦略(Strategy)…顧客へ提供する価値や競合他社への優位性を保つための取り組み
組織(Structure)…組織構造や指示命令系統
システム(System)…経営管理や情報管理、システム、精度などの企業の運営方式
価値観(Shared Value)…企業の社風や文化、経営スタイルなど
スキル(Skill)…従業員や企業全体が保有するスキルや技術など
人材(Staff)…人材採用、育成、評価、モチベーションなど
スタイル(Style)…企業文化、職場の雰囲気など
この7つのSの要素がバランスよく整っている方が成長性を高められると考えられています。中でも、価値観(Shared Value)は最も重要なもので他の要素に大きく影響を与えるもののため、しっかりと構築・浸透を図る必要があるでしょう。
この7つのSを整理・分析することで、組織の課題や将来の問題点を洗い出し、改善に向けた適切な対策を講じることが可能となります。
3つ目にご紹介する経営ノウハウは戦略的なアウトソーシングの活用についてです。アウトソーシングといえばコスト削減や社内のリソース対策を目的として、業務の一部を外部業者に委託する方法が一般的。しかし、ここでご紹介するのはこういった一般的なアウトソーシングではなく、BTO(business transformation outsourcing)です。
BTOは従来のアウトソーシングのように業務の一部を委託するのではなく、業務改革や効率化を目的とした、見直し・再構築をアウトソーシングするものです。
BTOはコンサルティング会社やIT企業など、経営戦略や業務管理、業務システムについての専門知識を保有した企業が手掛けており、専門家の知見を活用した業務課題の解消に役立てられます。
また、BTOは長期にわたって契約するケースが多く、委託先企業が企業内部に深く入り込み、業務や企業の特徴などを把握した上で業務改革にあたる点も特徴。長期的な契約により、しっかりと信頼関係を構築することで、改革案がより適切になるとともに社内への浸透も早くなるので、より迅速に課題解決に導けます。
企業がもつ課題を外部のノウハウを活用し解消する「攻め」のアウトソーシング手法を有効活用することで、自社の変革・収益性の向上につなげることができるでしょう。
4つ目にご紹介するノウハウは、汎用性が高いビジネスフレームワークの活用です。物事を的確に素早く把握し、的確な状況判断に導いたり意思決定のスピードアップを測ったりするために、さまざまなフレームワークという型が存在します。
ここでは、代表的な以下の3つのフレームワークをご紹介します。
3C分析
SWOT分析
5Forces分析
3つのフレームワークはビジネスの現場で多用されるものですので、概要をしっかり理解しておきましょう。
3C分析とは、企業(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素を分析するフレームワークです。これら3つの視点からビジネスを分析することで、戦略を最適化し、市場での競争力を高めることができます。
分析は企業→顧客→競合の順で分析します。企業分析では自社の強みや弱み、付加価値を明確にしましょう。顧客分析では、ターゲットとなる顧客・市場のニーズを理解し、顧客満足度を高める方法を見つけます。競合分析では、競合他社の分析や強み・弱みを整理し、自社との差別化ポイントを見つけます。PEST分析やSWOT分析など他のフレームワークを活用するのも効果的です。
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素で、組織の現状を把握し、効果的な戦略を立てることが可能です。
強みと弱みは自社の競争力など内部の状況に関する事柄を整理できます。機会と脅威の項目では市場や環境の変化、競合の戦略などが対象です。SWOT分析ではこれらの分析により明確になった課題をもとに、自社の競争力の強化やリスクの回避策などを策定していきます。
5Force分析はマイケル・ポーターが提唱したフレームワークで、市場環境を次の5つの要素から分析し、競争力を強化することを目的としています。
売り手の競争力
買い手の交渉力
競合との関係
新規参入者の登場
代替品の存在
たとえば分析結果が、他社が市場に新規参入しやすい市場だと分析した場合には、競合が多く参入することで競争が激化し、収益が下がるかもしれないといった未来予測につながるでしょう。そうなれば、他社と差別化した製品開発や最悪の場合は撤退など、今後の戦略検討へとつながります。
つまり、業界内に影響を与える要素を売り手・買い手・市場環境(競合・新規参入者・代替品)の3つの分類で、具体的に分析することで、市場の構造や自社の優位性や収益性を把握する上で有効なフレームワークといえるでしょう。
5つ目のノウハウは、経営計画書の作成についてです。経営計画書は、経営理念やビジョン、将来の会社のあるべき姿などを記した企業経営の道標ともいえる重要なものです。
以下のように多くのメリットがあるもので、経営をする上でなくてはならないものといえます。
社内だけでなく社外の利害関係者とも目標や方針が共有できる
根拠をもった経営判断ができる
資金調達などをする上で信用力があがる
中期計画には大きく分けて「長期経営計画」「中期経営計画」「短期経営計画」の3種類があり、それぞれ目的や内容が異なります。
長期経営計画は5~10年後といった長期間の経営方針、ビジョンなどを掲げるものです。長期経営計画は中期経営計画や短期経営計画の策定の指針となる会社の未来像を描くもので、数値計画などの具体的なものは必要ありません。会社のあるべき姿や市場での将来的なポジションなど、社内外で共有できる未来像を描くことが重要です。
中期経営計画は3~5年ほどの期間で長期経営計画を達成するために必要な施策を具体的に描きます。先ほどご説明したフレームワークなども活用し、会社の現状分析を踏まえた具体的戦略を数値計画も含め策定します。
短期経営計画は中期計画を1年間や半年、月次単位など短い期間まで落とし込んだものです。短期計画は部門ごと、業務ごと、個人ごとに計画を落とし込み、行動計画や数値目標を決定することが主な目的です。詳細にわたって策定するため、計画の進捗状況を確認しやすく、状況に応じて柔軟にアクションを起こせることが大きなメリットといえます。
経営計画を策定する上でのポイントは、これまでにご紹介した計画ごとの目的を理解し、今後の経営の指針となる方針を決めておき、実際の経営状況と照らし合わせることです。
そうすることで、目標と現在地とのかい離状況を理解し、適切な対策を打てるでしょう。
この記事では、成功している経営者が実践する代表者のノウハウとして、
タスク管理と重要度の分類
組織改革と7つのS
戦略的なアウトソーシングの活用
汎用性が高いビジネスフレームワークの活用
経営計画書の作成
の5つをご紹介しました。
ご紹介したノウハウは、どれも多くの企業で活用されているもので、自社の経営をより正しい方向に導くために有用なものです。
一方でせっかくの有効なノウハウも、その目的や使い方を理解していなければうまく活用できません。この記事を参考に経営ノウハウのことを理解し、自社の経営にぜひ役立てて下さい。