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CTC検査でがんを発見できる理由とは?検査の流れや発見後の対応を解説

作成者: ビズソル編集部|2023.9.27

CTC検査について詳しく教えてほしい」「がん発見のメカニズムを知りたい」などと考えていませんか。注目を集めているため、興味を抱いている方は多いでしょう。CTC検査は、小さな負担でがんを超早期発見できる可能性がある検査です。がんの早期発見、早期治療には救命効果があると考えられています。CTC検査は、メリットの大きながん検査といえるでしょう。

ここでは、CTC検査でがんを発見できる理由とCTC検査でがんを超早期発見するメリット、CTC検査の流れなどを解説しています。がん検査を検討している方は参考にしてください。

CTC検査でがんを発見できる理由

CTC検査は、血液中をめぐっている循環がん細胞や循環がん幹細胞を検出して、がんを早期発見したり再発を検知したりする検査です。CTC循環がん細胞(Circulating Tumor Cell。循環がん幹細胞はCTS(Circulating Stem Cell)を意味します。CTC検査で、がんをなぜ発見できるのでしょうか。

がんは、分裂の際に普通の細胞から変化したがん細胞が増え続けたものです。1個の細胞から分裂を繰り返して一定の大きさになると、栄養や酸素を得るため新しい血管をつくりだします。がんが進行すると、新たにつくりだした血管などを通って病巣から放出されたがん細胞が血液中を循環するようになります。これが循環がん細胞、あるいは循環がん幹細胞です。

血液中をめぐる循環がん細胞などは、離れた臓器に定着するとそこで新たにがん組織を形成します(転移)。また、治療でがんがなくなったように見えても、血液中をめぐる循環がん細胞が再び成長して腫瘍になることもあります(再発)。

CTC検査は、血液中から循環がん細胞、循環がん幹細胞を検出します。したがって、がんを発見できる可能性があるのです。

CTC検査と従来のがん検査の違い

CTC検査は、従来のがん検査とは異なる特徴を備えた検査です。代表的な違いは、検出できるがんの大きさといえるでしょう。PET検査(特殊な薬剤を身体に注入してがん細胞から放出される放射線をPETカメラで検出して画像化する検査)で検出できるがんの大きさは約7mmCT検査で検出できるがんの大きさは約10mmです。

CTC検査は2mm程度のがんを検出できる可能性があります。この大きさになると栄養や酸素を得るためがん細胞が血管内へ浸潤するため、血液中をめぐる循環がん細胞や循環がん幹細胞を検出できるからです。従来のがん検査では検出できない大きさのがんを検出できる点がCTC検査の特徴といえるでしょう。

もうひとつの違いとしてあげられるのが、循環がん細胞、循環がん幹細胞の遺伝子を分析して、がんの特徴を把握できることです。例えば、増殖力の強さ、浸潤能力や転移能力の高さなどを評価できます。遺伝子を分析することで、1人ひとりに合わせた治療につなげられる可能性もあります。

CTC検査によりがんを超早期発見するメリット

以上の特徴を踏まえると、CTC検査は超早期発見に強みがあるがん検査と考えられます。超早期発見にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

腫瘍化が進行する前に治療できる

超早期発見することで、がん細胞が腫瘍化する前に治療を開始できます。腫瘍は遺伝子変異で無秩序に増殖するようになった細胞の塊です。医療などの進歩で早期発見できれば、がんは90%以上が治るといわれています。

全がん協加盟施設生存率共同調査によると、早期発見(ステージⅠ)できた場合の5年生存率(相対生存率)は、胃がんが98.7%、大腸がんが98.8%、乳がんが100.0%、子宮頸がんが93.6%、子宮体がんが94.8%です(2011年~2013年全症例)。最も進行した状態(ステージⅣ)で発見した場合の5年生存率(相対生存率)は、胃がんが6.2%、大腸がんが23.3%、乳がんが38.8%(男性41.8%)、子宮頸がんが26.5%、子宮体がんが24.3%です(2011年~2013年全症例)。

出典:全がん協加盟施設生存率共同調査「全がん協生存率 5年生存率 全症例」

がんは、ある程度、進行するまで自覚できる症状を現しません。また、一定の大きさまで成長すると急速に進行します。ひとつのがん細胞が10mm程度の大きさになるには1030年程度かかるのに対し、10mm程度のがんが20mm程度になるには16カ月程度しかかかりません。超早期発見のメリットは非常に大きいといえるでしょう。

身体的・金銭的負担が少ない

がんを早期発見できると、軽い治療で済むケースが多くなります。がんの発見が遅れると、治療の選択肢は狭まります。強い吐き気を伴うなど、身体に大きな負担がかかる治療を選ばなければならないこともあります。

発見が遅れると、治療にかかる期間が長くなりやすい点にも注意が必要です。これに伴い、治療費は高額になる傾向があります。がんの進行とともに、治せる可能性が低くなる点も見逃せません。発見が遅れると、精神的な負担は大きくなるでしょう。CTC検査でがんを超早期発見できれば、身体的・経済的・金銭的な負担を抑えつつ治療できる可能性があります。

副作用の少ない治療を選べる

がんの治療方法には、複数の選択肢があります。主な治療法は、手術療法・放射線療法・化学療法・免疫療法4つです。具体的なメリット・デメリットは治療法により異なります。中には、副作用が少ないとされる治療法もあります。

CTC検査でがんを超早期発見できれば、このような治療法を選択できる可能性が高くなります(具体的な治療法は、がんの種類などで異なります)。時間的な猶予があるため、治療の選択肢が広がるためです。この点もCTC検査で超早期発見をするメリットと考えられます。

後遺症によるQOL低下を防ぐ

治療法を選択することにより、後遺症によるQOLの低下も防げる可能性があります。QOLQuality of lifeの頭文字をとった略語で「生活の質」を意味します。がんの治療は、後遺症などを伴うことが少なくありません。

例えば、手術で臓器を失うと、これに伴う影響が生活に現れます。がんは治っても、生きづらさを感じるかもしれません。がんを超早期発見できれば、後遺症の少ない、あるいは許容できる後遺症の治療法を選びやすくなります。CTC検査による超早期発見のメリットは、がんの治療後も続く可能性があります。

CTC検査によりがんが発見された際の対応

CTC検査で循環がん細胞などが発見された場合、どのように対応すればよいのでしょうか。具体的な対応を解説します。

各種検査を行い詳しく調べる

CTC検査は、がんの確定診断を目的とする検査ではありません。一般的ながん検査では検出が難しい大きさのがんを調べる検査です。循環がん細胞などが検出された場合、各種検査でさらに詳しく調べる必要があります。

また、循環がん細胞の遺伝子を分析して、がんの性格や予後の予測などを行ったり(遺伝子解析)、培養した循環がん細胞に抗がん剤や分子標的剤、天然成分を投与して適したものを評価したり(以上、順番に抗がん剤感受性・分子標的剤感受性・天然成分感受性)することも行います。

単にがんを検知するだけでなく、治療方法の検証まで行う点がポイントです。

進行度が低い間に適切な治療を行う

がんの確定診断を行ってから、進行する前に適切な治療を行います。前述の通り進行度が低い状態だと、治癒率は高く、治療の選択肢も増えます。例えば、胃がんであれば、心身にかかる負担が少ない内視鏡治療を選べることもあります。

CTC検査では、前がん病変を発見できることもあります。前がん病変は、がんになる一歩手前の状態です。この場合も、早期治療でがん化を防ぎます。前がん病変は、治療で治せる可能性が高いと考えられています。

CTC検査の流れ

CTC検査の基本的な流れは次の通りです。

  1. 病院を受診して問診票などに必要事項を記入する
  2. カウンセリングで医師からCTC検査について説明を受ける
  3. 説明に納得できれば1020㏄程度の血液を採取する
  4. 24週間後に病院を再び受診して結果の説明を受ける
  5. 循環がん細胞などが検出された場合は詳細な検査を行う
  6. 5の結果をもとに医師の診断を受けて必要に応じて治療方針を決定する
  7. がんの予防治療またはがんの治療を開始する

CTC検査は血液を採取するだけで行えます。事前に検査薬を服用したり食事を制限したりする必要は基本的にありません。注射針を刺すときに多少の痛みは伴いますが、身体に負担がかかりにくい検査です。ただし、100%の精度でがんを発見できるわけではありません。完璧な検査ではないことを理解しておく必要があります。

まとめ

CTC検査は、がんの超早期発見を主な目的とする検査です。がん細胞が大きくなると血液中に放出される循環がん細胞、循環がん幹細胞を検出することによりがんを発見します。従来のがん検査では検出できなかった大きさ2mm程度のがんを検出できる点が特徴です。

CTC検査でがんを超早期発見する主なメリットは救命効果を期待できることと治療の選択肢が増えることです。ケースによっては侵襲性の低い治療法や後遺症の少ない治療法を選ぶこともできます。

CTC検査の方法は、病院で説明を受けてから10~20cc程度の血液を採取するだけです。循環がん細胞などが検出された場合はさらに詳しく検査を行います。検査そのものの負担は大きくはありません。がんのリスクを調べたい方は、以上を踏まえたうえでCTC検査の利用を検討してみてはいかがでしょうか。