「新規事業を立ち上げたいけど手順がわからない」「成功のポイントがあれば教えてほしい」などと考えていませんか。一定のリスクを伴うため、慎重に行動したいと考えている方は多いでしょう。新規事業は、7つのプロセスを踏んで立ち上げると成功の確率を高められます。事業の軸をつくったり現実的な行動計画を立てたりできるようになるからです。
ここでは、新規事業立ち上げに欠かせない7つのプロセスと新規事業を成功させる3つのポイントなどを解説しています。新たな収益の柱を確立したい方は参考にしてください。
新規事業の立ち上げで必要になるプロセスは、以下の通りです。
最初のステップで、自社が抱えている課題や顧客が抱えている課題を洗い出します。自社がやりたいことだけに焦点を当てると、顧客のニーズと乖離してしまう恐れがあるからです。商品やサービスの最終的な評価は、顧客が行うことを認識しておかなければなりません。
具体的な方法として、自社が必要としている商品やサービスを部署横断的に検討する、顧客と接点がある自社の営業部からヒアリングをするなどが考えられます。自社が必要としている商品やサービスを検討する理由は、同業界、同規模の他社がよく似た課題を抱えている可能性があるからです。
並行して、新規事業のビジョンも明確にします。ここでいうビジョンは、新規事業を通して実現したいことといえるでしょう。例えば「新規事業で顧客の○○を改善したい」「新規事業で社会の□□に貢献したい」などが考えられます。リスクを冒して新規事業に取り組む理由と言い換えることもできます。
ビジョンを明確にする理由は、いつでも立ち戻れる拠り所ができるからです。ビジョンがあれば、事業の展開に行きづまったときも進むべき方向を見失いません。また、必要な人材も集まりやすくなります。結果的に、事業を成功へ導きやすくなるのです。その重要性を理解して、慎重に検討しなければなりません。
次に事業領域を決定します。事業領域は「誰にどのような価値をどうやって提供するか」といえるでしょう。課題が見つかると行動計画をすぐに作成したくなりますが、思い付きレベルで進めると失敗のリスクが高くなります。単なるアイデアを新規事業へ昇華させるため、このステップを踏む必要があるのです。
事業領域を定めるメリットは、資源を投下する領域と資源を投下しない領域が明らかになることです。注力するべきポイントが明確になると考えられます。事業領域を適切に定められないときは、ひとつ前のステップで決定したビジョンに立ち戻ります。軸をぶらさず、事業領域を定めることが重要です。
ビジョンと事業領域が定まると、新規事業の輪郭が見えてきます。ここで取り組みたいのが市場調査と事業調査です。市場調査では需要の有無とその大きさ、事業調査ではターゲットのボリューム、ニーズ、競合他社の有無などを主に調査します。想定されるリスクを調査しておくことも欠かせません。
具体的な方法として、企業を対象とする信用調査会社の活用が考えられます。一部の信用調査会社は、企業情報データベースや業界の動向・見通し分析リポートなどを提供しています。もちろん、関係者と交流を図り一次情報を入手することも大切です。幅広く情報を集めて、新規事業の市場性・事業性を分析しましょう。
次に、新規事業の立ち上げに欠かせない「ヒト・モノ・カネ・情報」を洗い出して調達します。いずれが欠けても、新規事業をスムーズに立ち上げられません。例えば、情報が欠けると、アイデアを商品化に結び付けられない恐れがあります。
ここでいう情報はノウハウなどを指します。ノウハウはヒトに結び付いていることが少なくありません。社内で人材を集めるときは、既存事業との兼ね合いに注意が必要です。既存事業に支障が生じる場合は、ノウハウを有する人材の採用を検討します。ただし、即戦力になる人材の採用も簡単ではありません。人材・ノウハウが不足するときは、社外の専門家を一時的に招くことも考えられます。
ここまでの内容を踏まえて「誰が・いつ・何をするか」を定めた行動計画を作成します。ポイントは、スケジュールに余裕をもたせて現実的な計画を立てることです。新規事業の立ち上げでは、さまざまな「想定外」に遭遇することが少なくありません。例えば、計画通りに人材を確保できない、予定通りに資金を調達できないなどが考えられるでしょう。タイトなスケジュールを組んでいると、計画変更を迫られるなど、トラブルが発生しやすくなります。
また、スケジュールありきで行動するケースが多くなるため、プロジェクトの質も悪化しがちです。新規事業を滞りなく立ち上げられるように、現実的な行動計画を立てることが大切です。
行動計画が完成したら、これに従い事業を展開します。ポイントは、計画通りに進捗しているか、期待した成果を得られているかなどをチェックすることです。事業を展開すれば終了ではありません。計画より遅れている場合や期待した成果を得られていない場合は、原因の見極めと計画の修正を行います。以上の作業を繰り返して、新規事業の精度を高めていくことが重要です。
新規事業の立ち上げは、企業にとってメリットの多い取り組みです。主なメリットして以下の点があげられます。
新規事業を立ち上げることで、経営の安定化を図れます。収益の柱を増やすことにより、既存事業の業績が会社全体の業績に与える影響を小さくできるからです。例えば、収益の柱がひとつしかなければ、その事業の業績が悪化すると会社全体の業績も悪化してしまいます。収益の柱が2つあれば、もうひとつの事業で業績の悪化をカバーできる可能性があります。外部環境の変化で、有効に機能しているビジネスモデルが陳腐化してしまうケースは少なくありません。新規事業の立ち上げは、企業が積極的に取り組みたい施策といえるでしょう。
既存事業とのシナジー効果で収益拡大を狙える点も魅力です。既存の技術を別の分野に転用すれば、大きな研究開発費をかけることなく収益性を高められる可能性があります。類似点が多い業界に進出するケースなども同様です。既にある技術・ノウハウ・店舗などを活用することで、コストを抑えつつ収益の拡大を狙えます。新規事業の内容によっては、単一事業に注力するよりも効率よく収益を得られるでしょう。
新規事業の立ち上げには、以上のメリットなどがあります。ただし、すべての企業がその立ち上げに成功しているわけではありません。どのような点に注意して取り組めばよいのでしょうか。
新規事業の立ち上げにあたり、意識したいのが既存事業を大切にすることです。既存事業には、新規事業に活用できる自社ならではの強みが隠れていることが少なくありません。例えば、受け継がれてきた独自のノウハウを他の分野に応用できることもあります。
強みがわからないときは、既存顧客を分析して自社が支持されている理由を明らかにするとよいでしょう。継続的な利用には何かしらの理由があるはずです。自社のビジネスを見直すことにより、新規事業で成功する確率が高まります。
新規事業の立ち上げでは、完璧思考を捨てることも大切と考えられています。綿密に計画を立てたとしても、計画通りに進むことはほとんどないからです。例えば、予想外のイベントでスケジュールに遅れが生じることもあるでしょう。新規事業の立ち上げでは、そのときの状況にあわせて柔軟に対応することが求められます。方向性は維持しつつ、臨機応変に行動することが大切です。
あらかじめ事業撤退ラインを決めておくことも成功のポイントです。残念ながら、すべての新規事業が成功しているわけではありません。中には、収益化に至らないケースもあります。新規事業を立ち上げると、サンクコスト効果により(投下したコストを惜しんで)引き際を見極めにくくなります。いつまでも撤退できず、会社経営に悪影響が及ぶことも考えられます。
このようなリスクを管理するため、あらかじめ事業撤退ラインを決めておくことが大切なのです。会社経営が安定していれば、次のチャンスを見つけられます。
新規事業の立ち上げは、計画段階から実行まで、多くの課題が伴います。特に、事業計画の策定、市場調査、リソースの確保など、緻密な準備と適切な戦略が必要です。そこで、専門的な知識と経験を持つコンサルタントの支援が役立つ場合があります。
もし、新規事業の立ち上げにおいてプロフェッショナルなアドバイスやサポートが必要な場合は、専門のコンサルティングサービスを検討してみてはいかがでしょうか。彼らは、ビジョンの明確化、市場分析、戦略立案など、事業開始の各ステージで具体的なアドバイスを提供できます。
市場調査と分析:競合他社の動向、業界のトレンド、ターゲット市場の特定など、市場調査を徹底的に行い、事業計画を策定します。
ビジネスプランの作成支援:リアルなビジネスプランの作成を支援し、ビジョンを実現可能な戦略に変換します。
リソース管理:必要な資源の特定と調達、チーム構築、財務計画の策定など、事業を効率的に運営するための支援を行います。
リスク管理:事業リスクの評価と軽減策の提案を通じて、安定した事業運営をサポートします。
パフォーマンス測定と改善:事業の進捗状況を定期的に測定し、必要に応じて改善策を提案します。
コンサルティングサービスの利用は、新規事業の成功率を高める上で、大きな助けになることが期待されます。専門的な知見と経験を活用して、事業立ち上げの各段階で適切なアドバイスを受けられるのです。
出典元:https://welcome.con-path.axc.ne.jp/
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新規事業の立ち上げには、収益の柱を増やして会社経営を安定させる、シナジー効果により収益性を高められるなどのメリットがあります。事業者が積極的に検討したい施策といえるでしょう。ただし、成功が約束されているわけではありません。失敗を避けるため、計画的に準備を進める必要があります。
基本のステップは、この記事で紹介した通りです。課題の洗い出し、ビジョンの明確化、事業領域の選定、市場調査、環境の整備を行ったうえで、行動計画に基づき新規事業を展開します。事業展開後の見直し・修正も欠かせません。会社経営を安定させたい方などは、この記事を参考に新規事業の立ち上げを目指してみてはいかがでしょうか。