本記事では、2024年の蓄電池市場動向、蓄電池を導入するメリット、蓄電池導入の検討ポイントについて解説します。
蓄電池とは、電気を貯めておく装置です。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーと組み合わせることで、電力供給の安定化やコスト削減につながります。
近年、蓄電池の導入が拡大しています。その背景には、電力価格の高騰や災害対策の強化、脱炭素社会の実現などが挙げられます。
2022年の蓄電池市場規模は、約1兆円と、前年比10%増加しました。このうち、住宅用蓄電池の導入が拡大し、市場規模は約6,000億円となりました。業務用蓄電池も拡大し、市場規模は約4,000億円となりました。
住宅用蓄電池の導入拡大は、以下の要因が考えられます。
電力価格の高騰により、ピーク時の電力使用量を削減することで、電気代を削減できるようになりました。また、災害時の停電対策として、蓄電池を導入する家庭が増えています。さらに、太陽光発電の普及により、自宅で発電した電気を蓄電池に貯めておき、夜間や災害時に利用できるようになりました。
業務用蓄電池の導入拡大は、以下の要因が考えられます。
業務用蓄電池を導入することで、ピーク時の電力使用量を削減することで、電気代を削減できるようになりました。また、災害時のBCP対策として、蓄電池を導入する企業が増えています。さらに、再生可能エネルギーの活用を促進するために、蓄電池を導入する企業が増えています。
蓄電池の技術は、近年急速に進歩しています。特に、リチウムイオン蓄電池のエネルギー密度と充放電効率の向上が顕著です。
リチウムイオン蓄電池は、2000年代以降、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯機器の普及に伴い、急速に普及してきました。近年では、エネルギー密度の向上と充放電効率の向上が進み、大容量化や長寿命化が実現されています。
エネルギー密度とは、蓄電池の重量または体積あたりに蓄えられる電気量のことです。エネルギー密度が向上することで、同じ重量や体積の蓄電池でより多くの電力を蓄えることができるようになります。
充放電効率とは、蓄電池に電力を充電する際の効率と、蓄電池から電力を放電する際の効率のことです。充放電効率が向上することで、より少ない電力をロスして蓄電池を充放電することができるようになります。
リチウムイオン蓄電池は、エネルギー密度や充放電効率の面で優れていますが、コストや安全性の面で課題もあります。
ナトリウムイオン蓄電池やニッケル水素蓄電池などの新規蓄電池は、リチウムイオン蓄電池に比べてコストや安全性の面で優れていることが期待されています。
ナトリウムイオン蓄電池は、リチウムイオン蓄電池に比べて安価で、資源の豊富なナトリウムを原料とするため、リチウムイオン蓄電池の代替として注目されています。
ニッケル水素蓄電池は、リチウムイオン蓄電池に比べて安全性が高く、長寿命であることが特徴です。
企業では、以下の目的で蓄電池を導入しています。
蓄電池を導入することで、ピーク時の電力使用量を削減することができます。ピーク時の電力価格は、通常時の電力価格よりも高く設定されているため、ピーク時の電力使用量を削減することで、電気代を削減することができます。
株式会社NTTドコモは、データセンターへの蓄電池導入により、電力コストを削減しています。NTTドコモは、全国にデータセンターを保有しており、ピーク時の電力使用量が大きいことが課題でした。蓄電池を導入することで、ピーク時の電力使用量を削減し、電気代を約10%削減することに成功しました。
蓄電池を導入することで、災害時の停電対策に役立ちます。停電時に蓄電池に貯めた電力を使用することで、業務や生活を継続することができます。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、店舗への蓄電池導入により、災害時の停電対策を強化しています。セブン-イレブン・ジャパンは、全国に約2万店の店舗を展開しており、災害時の停電対策が重要な課題でした。蓄電池を導入することで、災害時に店舗の照明や冷蔵庫などを稼働させることができ、顧客の利便性を確保することに成功しました。
蓄電池を導入することで、BCP対策を強化することができます。BCPとは、Business Continuity Plan（事業継続計画）の略称で、災害や事故などの緊急事態が発生した場合でも、事業を継続するための計画のことです。
株式会社三井不動産は、オフィスビルへの蓄電池導入により、BCP対策を強化しています。三井不動産は、全国に約1,000棟のオフィスビルを保有しており、災害時の事業継続が重要な課題でした。蓄電池を導入することで、災害時にビルの照明や空調などを稼働させることができ、事業継続を確保することに成功しました。
その他にも、以下の企業が蓄電池を導入しています。
蓄電池の導入は、企業にとってさまざまなメリットをもたらすことができます。今後も、蓄電池の導入はさらに拡大していくことが予想されます。
蓄電池を導入することで、ピーク時の電力使用量を削減することができます。ピーク時の電力価格は、通常時の電力価格よりも高く設定されているため、ピーク時の電力使用量を削減することで、電気代を削減することができます。
蓄電池を導入することで、災害時の停電対策に役立ちます。停電時に蓄電池に貯めた電力を使用することで、業務や生活を継続することができます。
蓄電池を導入することで、再生可能エネルギーの活用を促進することができます。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が変動します。蓄電池を導入することで、再生可能エネルギーの発電量を貯めておくことができ、安定した電力供給を実現することができます。
蓄電池は、高価な設備であるため、初期費用が大きくかかる点がデメリットです。
蓄電池は、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス費用も、ランニングコストとして発生します。
蓄電池の導入を検討する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
蓄電池を導入する目的を明確にすることで、最適な蓄電池を選ぶことができます。電力コストの削減を目的とするのか、災害対策を目的とするのか、再生可能エネルギーの活用を目的とするのかによって、必要な蓄電池の容量や性能は異なります。
蓄電池の導入には、初期費用とランニングコストがかかります。初期費用には、蓄電池本体の購入費に加えて、設置費や運搬費なども含まれます。ランニングコストには、メンテナンス費用や保険料などが含まれます。
蓄電池は、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス体制を整えておけば、蓄電池の寿命を延ばすことができます。
蓄電池の技術は、今後もさらに進歩していくことが予想されます。技術革新によって、蓄電池のコストが低下し、メンテナンスの手間が省けるなどのメリットが得られるようになる可能性があります。
また、蓄電池の普及拡大に伴い、導入支援の充実も期待されます。蓄電池の導入を検討する企業にとって、より導入しやすい環境が整っていくことが予想されます。
以上、蓄電池導入のメリット・デメリット、検討ポイント、今後の展望についてまとめました。