Bizsolコラム

スポットコンサルとは?企業が活用するメリット・デメリットを解説

作成者: ビズソル編集部|2024.4.03

ビジネスの世界では、さまざまな分野で専門的な知識とスキルを持った人材が必要とされています。しかし、全ての企業が必要な専門家を常に社内に抱えているわけではありません。そこで、外部の専門家を活用する「スポットコンサル」という手法が注目を浴びています。本記事では、スポットコンサルの意味や役割、メリット・デメリット、利用方法、費用相場などを詳しく解説します。自社の課題解決や新規事業に役立つ知見が得られるでしょう。

スポットコンサルの基本的な意味と定義

スポットコンサルの定義と概念

スポットコンサル(Spot Consulting)とは、企業が特定のプロジェクトや課題に対して、外部の専門家を一時的に雇う形態のことを指します。コンサルタントは、自身の専門性や知見を活かして問題解決のアドバイスを行い、クライアント企業はそのアドバイスに基づいて課題を解決していきます。

スポットコンサルは恒常的に専門家を雇うことなく、必要な時期やフェーズに合わせてコンサルタントを起用できるのが大きな特徴です。企業は長期的にコストをかけずに済み、一方コンサルタントは複数の案件を掛け持ちすることで収入を得られます。

ビジネスでのスポットコンサルの役割と利用目的

スポットコンサルの主な利用シーンは以下のようなケースが挙げられます。

・新規事業の立ち上げ時の課題解決
・マーケティング施策の立案
・DXやITシステム導入における助言
・人事や組織体制の改革
・M&Aにおけるデューデリジェンス
・コストダウンや業務改善のための施策提案

このように、専門的な知見が必要な場合に、スポットコンサルを活用することで、自社にない視点やノウハウを短期間で取り入れることができます。期間限定で外部の頭脳を借りるイメージです。

スポットコンサルのメリット とデメリット

スポットコンサルの優れたメリット

特定の課題への即時対応が可能

スポットコンサルを活用する最大のメリットは、高度な専門性を備えたエキスパートから、自社の特定の課題に関する的確な助言を受けられる点にあります。社内に不足するスキルや知見をタイムリーに補完でき、新規事業の立ち上げやDX推進、マーケティング施策の立案など、さまざまな案件で速やかな課題解決につなげられるでしょう。

特に新しい領域の取り組みでは、スポットコンサルの専門知識が大きな力となります。先駆的な事例やグローバルトレンドの情報に精通しているため、自社の経験則だけでは気づけない新たな視座を提供してくれます。意思決定の的確性を高め、先を見据えた戦略立案を可能にするのです。

外部視点の注入で新たな気づきが生まれる

スポットコンサルを起用するもう一つの大きなメリットは、自社の常識にとらわれない外部の視点を取り入れられることです。業界の常識に捉われがちな社員とは異なり、スポットコンサルは新鮮な目線から課題を捉え直し、発想の転換を促してくれます。

また、コンサルタントはさまざまな企業を渡り歩く過程で、多様な業界の実例やノウハウに触れてきました。そうした豊富な経験値を通じて見出された気づきを提供してくれるため、自社の問題を打開する新しいアプローチにつながるかもしれません。

社内の人材では到底得られない、革新的なブレイクスルーを導き出す可能性があるのがスポットコンサルの大きな強みです。

スポットコンサルのデメリットも意識が重要

一方で、スポットコンサルには長所と共にデメリットも存在します。活用する際は、以下の2点をしっかりと認識しておく必要があるでしょう。

長期間の伴走支援は基本的には望めない

スポットコンサルは本来、期間限定のアサインメントが前提となります。特定のプロジェクトやフェーズに特化した短期的な課題解決が目的となるため、それを超えた長期にわたる支援は基本的には想定されていません。つまり、大規模な組織改革や根本的な経営改革など、息の長い取り組みに対してはあまり向いていないと言えるでしょう。

ただし、一部の専門コンサルサービスでは、契約期間を長期に設定することで、一定期間にわたる継続的な支援体制を組むことも可能です。スポットコンサルとは名乗らず、中長期の改革プロジェクトに伴走し、全工程を通じてフォローアップするコンサルティング形態も存在します。

長期にわたり企業の内部事情に深く関与し、段階的に改革を実行していく必要がある場合は、このようなコンサルティング会社による恒常的な支援を検討するのが賢明でしょう。一方で、スポットコンサル本来の特性としては、特定の局面における一時的な助言が中心になります。持続的な伴走支援は基本的には期待しづらいというデメリットがあると認識しておく必要があります。

想定外の高額費用が発生するリスク

スポットコンサルのもう一つのデメリットは、場合によっては多額の費用が発生するリスクがあることです。プロジェクトの工数が見積もりを上回ったり、極めて高額な報酬を要求するコンサルタントを起用したりすると、想定外のコストが嵩んでしまう可能性があります。

事前にプロジェクトの規模感や内容を精査し、適正な見積り額を算出できるのかどうかを見極めることが重要です。また、コンサルタントの選定に際しては報酬水準を確認し、自社の予算に見合った人材を見つける必要があります。スポットコンサルのメリットは大きいものの、無尽蔵に費用をかけるわけにはいきません。コスト面での細かなリサーチと管理体制の整備が求められるでしょう。

このようにスポットコンサルには一長一短があり、賢明な利用方法が問われます。メリットを最大限引き出しつつ、デメリットをいかに回避できるかがカギとなります。自社の実情に照らし合わせ、活用のタイミングや範囲を慎重に検討する必要があります。

スポットコンサルの進め方と利用タイミング

スポットコンサルの基本的な利用方法

スポットコンサルを上手に利用するためのポイントをご紹介します。

問題点の明確化

まずは自社の課題やゴールを明確にし、どのようなアドバイスが必要かを整理することが大切です。漠然とした相談では的確な助言は得られません。問題点を具体的に設定し、求めるアウトプットを明文化しましょう。

コンサルタント選び

次に、その課題に適した専門家を選定する必要があります。業界経験、実績、スキルセット、キャリアなどを参考に最適なコンサルタントを見つける必要があります。後述しますが、専門コンサルサービスを利用するのも手です。

成果物の受け取りと把握

コンサルタントからの提案やアドバイスを受け取ったら、十分に内容を把握し、自社にどう活かせるかを検討します。提案の実現性を見極め、場合によっては修正を求めることも重要でしょう。

スポットコンサルを利用する適切なタイミング

では、スポットコンサルをいつ利用すべきでしょうか。適切なタイミングとしては、以下のようなケースが考えられます。

・新規事業の立ち上げ時
・DX/IT化の推進時
・マーケティング戦略の立案時
・人事制度の抜本改革時
・業務改善プロジェクトの実施時

このように、自社の常駐人材だけでは難しい専門的な課題が生じた際に、スポットコンサルを活用するのがベストなタイミングだと言えるでしょう。

スポットコンサルをアウトソーシングする理由とその手順

高度な専門性が必要な場合、さらにスポットコンサルをアウトソーシングすることも検討できます。アウトソーシングのメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

・自社でコンサルタントを選定する手間が省ける
・そのコンサル業者に選定を任せられるため、最適な人材を見つけやすい
・コンサル業者が募集から契約フォローまで一括でサポートしてくれる

手順としては、(1) 自社の課題を整理 → (2) コンサル業者への相談・見積相談 → (3) 契約 → (4) コンサルタント対応 → (5) 成果物の検収、という流れです。

自社の人材で手が足りない場合や、より専門性の高い人材が必要な場合は、スポットコンサルのアウトソーシングも検討に値するでしょう。

スポットコンサルの経済性

スポットコンサルの費用について

スポットコンサルを利用する上で気になるのが、費用面の問題です。基本的には、専門家の時給制やプロジェクト報酬制が一般的です。

スポットコンサル料金の相場

スポットコンサルの料金相場を見てみましょう。

・シニア人材: 35,000円~100,000円/時間(税抜) ITシステムの専門家やグローバル大手コンサルファーム出身の方など

・中堅人材: 10,000円~50,000円/時間(税抜) 中小のコンサル経験者や営業/マーケティングのスペシャリストなど

・若手人材: 3,000円~15,000円/時間(税抜) 新興業界のエキスパートや即戦力の若手人材など

このように、高度な専門性を持ち実績の豊富なコンサルタントになれば、料金は高額になる傾向があります。一方、低コストでニーズに応える若手人材の需要も高まっています。

専門家としてのスポットコンサルの報酬体系

そのスポットコンサルの料金体系には、いくつかの一般的なパターンが存在します。

最も基本的なのが「時間制」です。1時間あたりの単価を設定し、作業時間に応じた報酬を支払う仕組みです。若手コンサルタントでは5,000円前後、ベテランとなると3万円を超えるケースもあり、経験年数やスキルセット次第で幅があります。短時間で具体的なアドバイスが必要な際に適しています。

また「プロジェクト報酬制」という形態もあります。課題の内容と所要工数を見積もり、一括の報酬額を設定する方式です。単価制に比べてコストを抑えられる可能性があり、課題の範囲が明確な場合におすすめです。

さらに「成功報酬型」と呼ばれる斬新な体系も登場しています。コンサルタントの提案が実際にクライアント企業に一定の成果をもたらした場合にのみ、報酬が発生するケースがこれに該当します。リスクを最小限に抑えられる一方で、成果が出ない限り報酬は得られません。

このほか、「月額定額制」「チケット利用制」など、コンサルティング時間や利用頻度に応じた柔軟な料金設定も存在します。クライアント企業側はサービス内容と自社のニーズを照らし合わせ、最適なプランを選ぶ必要があるでしょう。

このように、スポットコンサルの料金体系は多様化しており、用途や予算に合わせて最適な支払い方式を選択することが肝心です。コンサルタント側も自身の価値に見合った適正水準を設定し、Win-Winの関係を構築することが重要となります。

スポットコンサルが適している人と企業

スポットコンサルを最大限活用できる人の特徴

スポットコンサルは、そのサービスの性質上、活用できる人と企業には一定の条件があります。効果を最大限に発揮できるスポットコンサル活用者の傾向としては、以下が挙げられます。

・専門性と高いスキルセットを持つ
・アドバイザリー業務の経験が豊富
・プロジェクトマネジメント能力が高い
・傾聴力や説明力に長けている

特に専門性が重要で、確かな知識と実務経験が問われます。また、クライアントの要望を的確に汲み取り、解決策をビジネススキルを駆使して提案できることが求められます。単にスキルが高いだけでなく、ソフトスキルも重要な要素となります。

スポットコンサルの導入で企業が得られる多様なメリット

スポットコンサルの活用は、企業経営に多岐にわたる恩恵をもたらします。主なメリットは以下の通りです。

人件費の大幅な抑制

社内に常駐の専門人材を抱えるよりも、スポットコンサルを活用する方が人件費を大きく節減できます。特に高額な年俸を支払う必要のある上位層の専門家については、その分のコストを大幅に圧縮することが可能です。

製薬会社Dが新薬の開発においてスポットコンサルを起用した際、従来の人件費の3分の1程度で抑えられたと報告されています。

最新の専門知識と経験の活用

スポットコンサルの多くは、常に第一線で活躍し続けている専門家です。そのため、最新のビジネストレンドや技術動向、ベストプラクティスなどの情報を有しています。こうした知見を自社に取り入れることで、環境変化への対応力が格段に向上します。

自動車メーカーEがEV開発の加速を図る際、スポットコンサルからバッテリー技術の先端情報を得て、製品設計に反映。スピード感を持った開発が実現できました。

社外の新しい視点の取り込み

スポットコンサルは社外の第三者的な立場から、社内の人間では気づきにくい課題を指摘してくれます。また、常に複数の企業を渡り歩く過程で、さまざまな業界の実例に触れています。そうした異なる視点から、新しいアプローチや発想を提案してくれる可能性があります。

金融大手Fは店舗デジタル化を進めるにあたり、外部コンサルから独自の視点を得ることができ、ユーザー体験の抜本的な改善につなげました。

このように、スポットコンサルを賢く活用することで、経営資源の最適化、最新トレンドへの対応、新しいビジネスチャンスの発見など、さまざまなメリットを企業は享受できます。タイムリーな専門家の知見を取り込むことで、自社の競争力を大きく高められるでしょう。

おすすめのスポットコンサルティングサービス

顧問バンク:最大級の顧問マッチングサービス。スポットでの起用も可能


出典元:https://common-bank.com/

顧問バンクは企業と顧問のマッチングプラットフォームで、9,000人以上の専門家が登録されている大規模なネットワークを提供しています。企業は自社のニーズに合わせて、必要な時にスポット的に顧問を起用できます。登録顧問の詳細プロフィールを検索し、専門性や経験を直接確認できるため、適切な顧問を容易に見つけられます。また、定期的なウェビナーを開催し、企業と顧問の相互理解を深め、効果的なマッチングを促進しています。このように顧問バンクは、企業が柔軟に優秀な外部人材を活用できる環境を提供し、経営課題解決をサポートするサービスとなっています。

コンパスシェア:スポットコンサルティングサービス


出典元:https://welcome.con-path.axc.ne.jp/

コンパスシェアは、2022年7月27日に開始されたスポットコンサルティングサービスで、企業と経験豊富なコンサルタントを1時間から短期間で結びつけます。このサービスは、事業戦略、デジタルトランスフォーメーション、資金調達などのビジネス課題に対し、リーズナブルな価格で専門的なアドバイスを提供し、現役のハイエンド人材を38,500円(税込)から活用できます。

まとめ

ここまで、スポットコンサルの定義から活用方法、費用相場、おすすめサービスまでご紹介してきました。

スポットコンサルを利用すれば、短期間で専門家の知見を取り込めます。新規ビジネスの立案や業務改善、マーケティング施策など、さまざまな領域で役立つ存在です。一方で、長期的な関与は期待できないというデメリットもあります。

自社の課題やニーズを明確にした上で、スポットコンサルの利用を検討するのがベストでしょう。高いコストパフォーマンスを発揮できれば、自社の競争力強化や収益向上に寄与できるはずです。

課題に応じて専門家の知恵を取り入れる。そしてスポットコンサルという選択肢を賢く活用することが、今後のビジネス発展には重要になってくるでしょう。