企業が抱える経営課題や新しいビジネスチャンスに対応するためには、社内の視点だけでは限界があります。そこで外部の専門家であるコンサルタントに助言やサポートを求めるケースが多くなっています。本記事では、コンサルタントの役割と企業に与える影響、さらには良いコンサルタント・コンサルティング会社を選ぶためのポイントなどを解説します。経営層や事業責任者の皆さまが適切なコンサルタントを見つける一助となれば幸いです。
コンサルタント(consultant)とは、経営や組織、業務プロセスなど企業が抱える課題について、専門的な知見やノウハウを活かして分析や提案を行う外部の専門家を指します。コンサルティングファーム(会社)に所属する場合と、フリーランスで活動する場合があります。
世界的に有名なコンサルティングファームとしては、マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、ベインアンドカンパニーなどの"トップ3"をはじめ、デロイト、アクセンチュア、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)などの大手会計事務所系コンサルティング部門があげられます。
コンサル業界は総合系と専門系に大別されます。総合系では経営戦略や事業戦略、組織再編、M&Aなど幅広い領域を手掛けます。ファームによっては特定の業界や機能に特化する場合もあります。一方の専門系は、ITシステム構築支援、デジタルトランスフォーメーション(DX)、人事・組織コンサルティングなどの特定領域に特化しています。
2022年度の日本国内のコンサルティング市場の規模は約1兆8,281億円に達しています。これは前年度比で16%の増加を示しており、年平均成長率(CAGR)は13.6%となっています。特にデジタル変革(DX)などのニーズの高まりが市場の成長を支えているようです。
コンサルタントの最も重要な役割の一つが、企業の経営戦略や事業戦略の立案を支援することです。例えば、新規事業の立ち上げ、新市場への進出、事業再編などがあげられます。幅広い業界や企業との経験を持つコンサルタントは、クライアント企業とは異なる斬新な視点から戦略を提案することができます。
コンサルタントは、まずクライアント企業の現状を分析し、強み・弱みを洗い出します。そして、業界動向や競合状況、グローバル市場の潮流などを踏まえ、将来のあるべき姿を明確化し、そこに至る戦略とロードマップを策定するのが一般的なプロセスです。
企業の経営課題の多くは、業務の非効率性や無駄な工程にあることが少なくありません。特にグローバル化が進展する中で、海外子会社を含めた業務プロセスの標準化や最適化は重要な経営テーマとなっています。
そこでコンサルタントは、業務の現場に入り込み、フローや工程の改善点を分析・提案します。単に現状分析にとどまらず、ITシステムの導入や業務のアウトソーシングなど、具体的な実行フェーズまでをサポートすることが期待されています。
コンサルタントは、そのドメインにおける高度な専門知識とスキルを備えています。企業経営者は自社の経験と知見をベースに考えがちですが、コンサルタントの助言により、新しい知見を得られるメリットがあります。
例えば戦略コンサルタントであれば、M&Aの実務知識やデューデリジェンスの手法、戦略系アナリストであればデータ分析に関する専門的なノウハウを提供できます。クライアントの課題に合わせて、コンサルタントの専門性を組み合わせて支援することで、的確なソリューションを導くことができるのです。
戦略コンサルティングを活用することで、経営者は自社のビジネスをグローバルな視点から捉え直すことができます。クライアント企業とは異なる業界の知見や豊富な事例を基に、コンサルタントは新しい発想に基づく革新的な提案ができます。単に延長線上の発想ではなく、新規事業の立ち上げや事業ポートフォリオの見直し、M&A など、ゲームチェンジングな経営戦略を打ち立てる一助となります。
また、コンサルタントは客観的な立場から、経営陣に対して賛同しがちな社内関係者からは指摘されにくい本音の指摘もできます。企業はコンサルタントの力を借りることで、既存オーナー経営からの脱却や後継者育成、ガバナンス体制の確立などの経営課題にも取り組めます。
さらに、スピーディな戦略立案と実行も可能になります。社内の limitedなリソースに頼らず、コンサルタントの専門家集団の力を活用できるため、短期間で質の高い戦略策定と実行計画の立案ができるのです。
業務プロセス改革は多くのコンサルタントが実績を持つ領域です。現場の詳細な業務分析を行い、無駄な工程や手順の見直しを行うことで、生産性の向上とコスト削減を実現できます。
さらに最先端のITソリューションの導入により、業務の自動化や無人化を進めることも可能です。RPA(Robotic Process Automation)やAIなどのデジタル技術を活用し、人的ミスのリスクを低減しながら効率的な業務プロセスを構築できます。
コストダウンによる短期的な効果だけでなく、限りあるリソースを付加価値の高い業務へとシフトさせることで、競争力の向上やイノベーションの創出といった持続的な成長にもつながります。優秀な人材を戦力化し、高付加価値業務に専念できるようになれば、企業の収益力は格段に向上するはずです。
組織の中で長年培われてきた前例や発想を打ち破るのは容易ではありません。しかし外部の人間であるコンサルタントならば、常識に囚われずに物事を柔軟に見つめ直すことができます。その新しい視点から、既存ビジネスに囚われない革新的なアイデアやコンセプトを生み出すことが可能です。
また、コンサルタントは複数の業界・企業を経験しているケースがほとんどです。異なる業種での最新のトレンドや成功事例を横断的に把握しています。それらを掛け合わせることで、新規ビジネスモデルの創造や異業種コラボ製品の開発など、イノベーションの種を発見できるチャンスがあります。
多角的な視点を持つ存在として、コンサルタントが発想の源泉となることで、単なるインクリメンタルな改善を超えた本格的なイノベーションの実現につながるでしょう。
小売業A社・・・データ活用によるマーケティング強化を目指していたが、企業統合の経緯でITシステムが分散していた課題があった。コンサルタントが営業部門とIT部門の連携を促進し、顧客データの一元管理と効果的活用を実現した。
製造業B社・・・人事部門主導の働き方改革を推進したが、経営層と現場の理解に齟齬があった。コンサルタントが経営層との対話を重ね、改革の目的を明確化。研修を通じて現場の理解と継続的な改革への機運を醸成した。
サービス業C社・・・デジタル化への対応が課題となっていた。コンサルタントが現状分析とデジタル戦略策定を支援。業務プロセス改革とITシステム再構築を一気通貫で実施し、年間10億円のコスト削減に貢献した。
これらの事例が示すように、コンサルタントの支援により、マーケティング強化、働き方改革の浸透、デジタルトランスフォーメーションなど、企業が抱える様々な課題の解決が可能になります。
ただし成功の鍵は、コンサルタントとクライアント企業の緊密なコミュニケーションと相互理解にあります。コンサルタントの提案を単に実行するだけでなく、クライアント企業側が主体的にイニシアティブを取り、課題解決に全力を尽くすことが何より重要です。
適切なコンサルティングサービスを受けるためには、クライアント企業側でもコンサルタントやファームの選定基準を明確にしておく必要があります。主な選定基準は以下の通りです。
単なる一般論ではなく、自社の属する業界の実情を熟知し、同種の課題を多数手掛けてきた実績があることが重要です。
コンサルティング領域が自社の抱える経営課題や要望にマッチしていることも欠かせません。例えば戦略策定支援なのか業務プロセス改革なのかを明確にする必要があります。
実際に支援を受けるのはコンサルタント個人です。そのため、担当チームのメンバーの経歴や専門分野、資格の有無などを確認することが不可欠です。
口コミ情報なども参考にしながら、過去の実績とクライアントの評価、満足度を多角的に見極める必要があります。
コンサルティング料金は高額となる傾向にあります。十分な効果が期待できるかどうかを見極めながら、適正な報酬水準であることを確認しましょう。
さらに質の高いコンサルティングサービスを受けるには、コンサルタント個人の下記のような資質を見極めることも重要です。
ただ自説を述べるのではなく、クライアント企業の本音を引き出し、深く共感できるコミュニケーション力が求められます。
クライアントの課題に真剣に向き合い、その解決に全力を尽くす姿勢が不可欠です。単なる理論家ではなく、実践的なアプローチができることが大切です。
過去の経験に囚われず、常に新しいアイデアを生み出す創造性が求められます。クライアントの思い込みを打ち破る発想の転換が何より重要です。
根拠のない唱えごとではなく、明確な論理と事実関係に基づいたオリジナリティある提案ができることが肝心です。
戦略策定だけでなく、実行フェーズまでの詳細な実践的支援を行える総合力が必要とされます。
こうした点を備えたコンサルタントを見極めることが、成功への第一歩となります。
出典元:https://common-bank.com/
顧問バンクは企業と顧問のマッチングプラットフォームで、8,000人以上の専門家が登録されている大規模なネットワークを提供しています。企業は自社のニーズに合わせて、必要な時にスポット的に顧問を起用できます。登録顧問の詳細プロフィールを検索し、専門性や経験を直接確認できるため、適切な顧問を容易に見つけられます。また、定期的なウェビナーを開催し、企業と顧問の相互理解を深め、効果的なマッチングを促進しています。このように顧問バンクは、企業が柔軟に優秀な外部人材を活用できる環境を提供し、経営課題解決をサポートするサービスとなっています。
出典元:https://welcome.con-path.axc.ne.jp/
コンパスシェアは、2022年7月27日に開始されたスポットコンサルティングサービスで、企業と経験豊富なコンサルタントを1時間から短期間で結びつけます。このサービスは、事業戦略、デジタルトランスフォーメーション、資金調達などのビジネス課題に対し、リーズナブルな価格で専門的なアドバイスを提供し、現役のハイエンド人材を38,500円(税込)から活用できます。
本記事で解説してきたように、コンサルタントには様々な役割が期待されています。企業が直面する課題に対して、外部の視点から経営戦略の立案を支援したり、専門的な知見を活かした提案を行ったりと、重要な役割を担っています。
企業経営においては、外部の知見を取り入れながら常に経営の舵取りを見直し、最適化を図っていく必要があります。こうした観点から、コンサルタントのサポートは今後ますます重要性を増してくるでしょう。
コンサル業界を取り巻く環境は、経済のグローバル化や企業のデジタルトランスフォーメーションなどを背景に、大きな変化が訪れています。
これまでのような受身のコンサルティングから、より実行支援に特化したコンサルへのニーズが高まっています。また、ビッグデータやAI技術の活用など、デジタル化への対応も求められています。
このように、今後はコンサルティングのあり方自体が進化を遂げていく可能性があります。コンサルタント個人のスキルセットの見直しと強化が不可欠となり、企業と共に新しい価値創造に挑戦していく必要があるでしょう。