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コンサルは必要か?経営者のための賢明な判断と課題解決のヒント

作成者: ビズソル編集部|2024.3.22

企業が抱える様々な経営課題を解決するため、外部のコンサルタントを起用することは一般的な選択肢の一つとなっています。しかし、近年では「コンサル不要論」が高まる傾向にあります。本記事では、コンサルタントを活用しない企業の特性や、自社での問題解決力強化のためのポイントを解説しつつ、適切なコンサルタントの活用法についても論じます。コンサルの在り方と未来の展望も併せてお伝えしていきます。

コンサルの理解とその必要性について

コンサルタントの本質的な役割

コンサルタントの本質的な役割は、クライアント企業の経営課題や事業課題を客観的に分析し、解決に向けた適切な助言や提案を行うことにあります。コンサルティングファームは、様々な業界やケースに関する豊富な経験と高い専門性を有しています。優秀なコンサルタントであれば、自社の社員では気づきにくい課題や改善点を洞察し、クライアントにとって最適なソリューションを見出すことができるはずです。

コンサルタントに頼らない企業の特徴

一方で、コンサルタントに頼らずに自社の力で問題を解決できる企業も存在します。そうした企業には以下のような特性が見られます。

自社の問題を自力で解決できる企業の特性

  • 経営層や社員のスキルが高く、自社の強みと課題を客観的に認識できる
  • 自助努力を重んじ、社内の人材育成に熱心に取り組んでいる
  • 外部からの指摘を素直に受け入れられる姿勢と行動力がある
  • 自社にあった問題解決プロセスが確立されている

こうした企業であれば、コンサルタントに支払う高額な報酬をコストとして捉えるよりも、自社の人材育成と問題解決力強化に充てた方がコストパフォーマンスが良いと判断するでしょう。

コストパフォーマンス観点からみたコンサルの必要性

実際、コンサルタントの報酬は年俸制が一般的で、数千万円から億単位の高額になる場合もあります。一方で、内部人材を活用する分、追加コストはかからず、企業にとって大きなメリットがあります。

ただし、自社の経営資源に限界がある場合や、スピード感を求められる大きな変革が必要な際はコンサルタントの起用が賢明です。業界知見、グローバルな視点、最先端のノウハウなど、社外の専門家の力を借りる意義は大きいでしょう。

コンサルタント不要の理由とその解決法

自己判断力の向上と自己実現の重要性

コンサルタントを活用しない理由の一つとして、「自社の問題は自社で解決すべき」といった自己判断力の重視が挙げられます。多くの経営者は、チャレンジングな課題に自ら取り組むことで自己実現を果たしたいと考えています。自社の実情を最も熟知しているからこそ、外部の目線だけでなく、内部の力を最大限に活かして自力で解決策を見出す必要があると位置づけています。

具体的なスキル向上方法と時間管理のコツ

では、経営者自身が問題解決能力を高める具体的な方法はどのようなものがあるでしょうか。

まずは、自身の強みと弱みを認識することが重要です。DVDやオンライン講座で経営スキルを学んだり、セミナーに参加して最新の業界動向を把握したりするなど、継続的な自己啓発に努める必要があります。

また、コミュニケーション力、課題分析力、創造力、判断力などの能力開発にも注力しましょう。部下との対話を通じてリーダーシップを発揮し、データ分析による課題の本質の掘り下げ、ブレインストーミングによるアイデア創出、等、実践を重ねることで力をつけていくことができます。

加えて、時間管理が肝心です。経営者は多忙を極めがちですが、スケジュール管理の徹底や優先順位付けを行い、自己研鑽の時間を積極的に確保することが求められます。

自社内チームの活用と強化

コンサルタントに頼る代わりに、社内の人材を最大限に活用することも有力な解決策のひとつです。ただし、特に中小企業では社内リソースに乏しいことが課題となります。そこで重要になるのが小規模チームの編成と、その上での人材開発です。

小規模企業での自社内チームの組成と人材開発の方法

中小企業の場合でも優秀な人材を抱えていることはよくあります。そうした人材を見極め、プロジェクトベースで小規模ながらも強力なチームを立ち上げることが肝心です。

社内公募制度を設け、自主的にプロジェクトに参加する社員を募ったり、人事評価と連動させて意欲ある人材を発掘したりするなどの工夫が考えられます。続いて、OJTを軸としながらも、集合研修や外部の講師を招いた研修なども有効に組み合わせ、着実にスキルアップを図っていきます。そうすれば、社内に強力な問題解決チームを育成できるはずです。

アウトソーシングの効果的な活用方法

アウトソーシングの利点とその実例

完全に社内リソースだけでは限界がある場合には、コストを抑えつつ優秀な人材を確保できるアウトソーシングが有効です。IT人材の不足に悩むシステム開発プロジェクトで、設計工程はオフショア拠点に外注、国内拠点では上流と下流の工程を担当するハイブリッド型が、その一例として挙げられます。

人材派遣、クラウドソーシング、BPOなど、様々なアウトソーシングの形態があり、それぞれの長所・短所を理解した上で、自社に合ったアプローチを検討する必要があります。

コスト削減と効率化について

アウトソーシングのメリットとしては、コスト削減と業務の効率化が図れることが挙げられます。

採用や教育研修にかかる費用を抑えられるほか、適材適所で人材を投入できるため、プロジェクトの工期短縮や生産性の向上が期待できます。また、専門的なスキルを有する人材を柔軟に確保できるため、自社の人的リソースに制約がなくなります。

一方で、過度のアウトソーシングには課題もあります。ノウハウの外部流出や、品質管理の難しさが課題となる可能性があるためです。

アウトソーシングのリスクとその管理

リスク回避のための具体的なポイント

そこで、アウトソーシングを適切に活用するためのポイントを押さえておく必要があります。

まずは、守秘義務の明確化や情報セキュリティ対策の徹底といった、機密情報の漏えい対策が重要です。また、作業品質を一定の水準に保つため、定期的な進捗確認を行ったり、柔軟なコミュニケーションを重ねたりすることが求められます。

アウトソースする案件の難易度をよく見極め、重要な中核業務は社内で行うなど、自社のコア能力に関わる部分の内製化も肝心です。アウトソーシング先の選定時には、実績や信頼性を確認することも大切なポイントとなります。

経営層の強い監督体制の下、上記のリスク管理を徹底すれば、アウトソーシングの利点を最大限に活かすことができるはずです。

コンサルの在り方と未来の展望

社内組織や人材の強化を通じての問題解決能力の育成

長期的な視点に立てば、コンサルタントに過度に依存するのではなく、社内組織や人材を強化し、自らの問題解決能力を高めていくことが企業には求められています。

そのためには、社内リソースの最適な活用はもちろんのこと、明確なビジョンと戦略の下で、組織文化や人材育成プログラムを見直し、改革に取り組む必要があります。

問題解決に必要なマインドセットの形成

特に重要なのは、全社員が主体性を持ち、イノベーションマインドを発揮できるような組織風土を構築することです。トップダウンの指示に従うだけでなく、現場の社員一人ひとりがクリエイティブに課題にアプローチし、解決策を自ら考え抜くことができるようにするため、双方向のコミュニケーションを推進したり、社内の学びの場をつくったりするなどの工夫が求められます。

こうした施策を徹底することで、組織全体の問題解決力が向上し、コンサルタントに頼らずに自力で経営課題に立ち向かえるようになるはずです。

コンサルタント自身のキャリアパスとその影響

コンサル会社を辞めた後のキャリアの展開

こうした動きが進めば、コンサルタントを目指す人材の減少にもつながります。実際、既にトップコンサルタントの転職が顕在化していて、メーカーや金融など、さまざまな企業に引き抜かれるケースが増えています。

優秀なコンサルタントであれば、コンサルティングで培った課題発見力や分析力、企画立案力などが高く評価され、企業からのスカウトが相次ぐためです。企業の中核を担う人材として活躍でき、さらに年収もアップすることから、魅力的な選択肢と映るのです。

こうした人材流出は、コンサルティング業界全体の質の低下につながりかねません。そのため、人材の確保と育成に注力するとともに、コンサル業務をより付加価値の高いものへとシフトさせていく必要があるでしょう。

コンサルタント活用の新しい選択肢

このように、コンサルタントの存在意義が問われる中、新しいサービスが注目を集めています。それが『顧問マッチングサービス』や『スポットコンサル』です。

顧問マッチングサービスでは、企業の課題や要望に合わせて最適な顧問を検索機能で探すことができます。必要な時に必要な分だけ顧問を雇えるため、コストを大幅に抑えられます。一方のスポットコンサルは、短期的な特定課題に対してコンサルタントを手配するサービスです。プロジェクトベースで高度な専門性を活用できるのが魅力です。

このように、従来とは異なる新しいコンサルタントの活用法が登場しています。企業はそうしたサービスを上手に組み合わせることで、適切なコストでタイムリーな課題解決を図れるようになるでしょう。コンサル業界もこうした変化に柔軟に対応し、サービスの進化を遂げていく必要があります。

顧問バンク:最大級の顧問マッチングサービス。スポットでの起用も可能


出典元:https://common-bank.com/

顧問バンクは企業と顧問のマッチングプラットフォームで、8,000人以上の専門家が登録されている大規模なネットワークを提供しています。企業は自社のニーズに合わせて、必要な時にスポット的に顧問を起用できます。登録顧問の詳細プロフィールを検索し、専門性や経験を直接確認できるため、適切な顧問を容易に見つけられます。また、定期的なウェビナーを開催し、企業と顧問の相互理解を深め、効果的なマッチングを促進しています。このように顧問バンクは、企業が柔軟に優秀な外部人材を活用できる環境を提供し、経営課題解決をサポートするサービスとなっています。

コンパスシェア:スポットコンサルティングサービス


出典元:https://welcome.con-path.axc.ne.jp/

コンパスシェアは、2022年7月27日に開始されたスポットコンサルティングサービスで、企業と経験豊富なコンサルタントを1時間から短期間で結びつけます。このサービスは、事業戦略、デジタルトランスフォーメーション、資金調達などのビジネス課題に対し、リーズナブルな価格で専門的なアドバイスを提供し、現役のハイエンド人材を38,500円(税込)から活用できます。

まとめ

長らく企業経営に欠かせない存在とされてきたコンサルタントですが、近年は「コンサル不要論」も高まりを見せています。自社の問題は自社で解決したいという考え方から、自社内のリソース活用を重視する企業が増えているのが背景にあります。

一方で中小企業などリソースに乏しい場合は、アウトソーシングを賢明に組み合わせることで、コストを抑えつつ外部の専門性を取り入れられるというメリットがあります。

どのような手段を選択するかはさまざまですが、本質的には自社の問題解決力の強化が何よりも重要です。経営層から現場社員に至るまで、全社を挙げてその能力向上に取り組む姿勢が求められます。組織風土改革や人材育成を徹底すれば、コストパフォーマンスに優れ、自立した企業経営が実現できるはずです。

一方で、コンサルタントの重要性が低下すればその存在意義自体が問われかねません。コンサル会社業界は、より高い付加価値を生み出す方向へのシフトを迫られるでしょう。 コンサルタントのキャリアパスをより魅力的なものへと進化させていく努力も不可欠となっています。

今後、企業とコンサルタントの双方が、お互いの強みを生かし合える賢明な関係性を構築できるか。それが、企業と経済の発展のカギを握ることになるはずです。