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上場企業の経理とは?業務の複雑さとアウトソーシングのススメ

作成者: ビズソル編集部|2024.10.30

上場企業における経理業務は、非上場企業とは異なり、数多くの法規制やガイドラインに基づく高度なスキルが要求されます。企業が株式を公開することにより、透明性の確保と信頼性の向上が求められる一方で、経理業務の複雑さも飛躍的に増します。本記事では、上場企業の経理業務の特徴や、そのために必要なスキルを詳しく解説し、経理業務を効率化するためにアウトソーシングを検討する際のポイントについてもご紹介します。

上場企業の経理業務の特徴

上場企業の経理業務は、非上場企業とは異なり、複雑で高度な作業が求められます。具体的には、以下のような業務が含まれます。

日次・月次・四半期ごとの業務内容

上場企業では、日次の仕訳業務から月次決算、そして四半期決算まで、さまざまな経理業務をタイムリーかつ正確に行う必要があります。これらの業務は、株主や投資家に対する企業の信頼を維持するためにも、迅速かつ正確な報告が求められます。

日次業務には、日常的な取引の記録や仕訳が含まれ、これが基礎となります。月次業務では、売掛金や買掛金の管理、予実管理、固定資産の管理などを行い、毎月の財務状況を把握します。そして、四半期ごとの決算では、これらのデータを集約し、連結決算や開示書類の作成に取り組む必要があります。

連結決算と単体決算の違い

上場企業には、単体決算に加えて連結決算の作成が求められます。連結決算とは、親会社と子会社の財務状況をまとめ、グループ全体としての経営成績を示すものです。これは、投資家に対する透明性を確保するための重要な業務であり、財務諸表の一貫性と正確性が求められます​。

連結決算では、子会社の財務情報を親会社の財務諸表に組み込む際の調整作業や、損益計算の相殺、内部取引の消去などが必要となり、非常に高度な専門知識が求められます。また、連結財務諸表を適切に作成するためには、複雑な会計基準を理解し、適用するスキルも重要です​。

監査対応と内部統制の重要性

上場企業は、外部監査を定期的に受ける義務があります。これは、企業の財務報告が正確で信頼できるものであるかどうかを第三者に確認してもらうためのものです。この監査対応には、膨大な資料の準備や説明が必要であり、経理部門はその中心的な役割を担います​。

また、内部統制の構築も重要な業務です。内部統制とは、企業の業務プロセスを適切に管理し、リスクを最小限に抑えるための仕組みです。上場企業では、この内部統制が法律で義務付けられており、特に財務報告に関連する部分については厳密な管理が求められます​。

上場企業の経理に求められるスキル

上場企業の経理業務を遂行するためには、専門的な知識とスキルが求められます。ここでは、代表的なスキルについて解説します。

会計基準に則った決算スキル

上場企業では、決算時に適用される会計基準に関する深い知識が不可欠です。特に、金融商品取引法に準拠した決算書の作成が求められるため、関連する法律や会計基準を理解し、正確に適用する能力が必要です​。

このスキルは、日商簿記検定2級程度の知識から始まり、実務経験を積むことでさらに高度なレベルに達することが可能です。日商簿記1級や税理士資格などを取得することで、さらなる専門性を持つことが推奨されます。

申告書作成と税務対応

上場企業の経理担当者には、法人税や消費税などの申告書を正確に作成し、税務調査に対応するスキルも求められます。税務対応は、企業の財務健全性を保つために非常に重要な業務であり、ミスが許されない部分です​。

このため、税務に関する最新の知識を常にアップデートし、適切な対応ができるようにしておくことが求められます。税理士や会計士との連携も重要なポイントです。

高度なコミュニケーション能力と調整力

経理部門は、企業内外のさまざまな関係者と連携する必要があります。上場企業では、特に他部署や監査法人とのやり取りが増えるため、高度なコミュニケーション能力が求められます​。

また、各種調整業務も重要です。例えば、内部統制の強化に伴う業務フローの変更や、監査法人からの指摘事項への対応など、他部署を巻き込んで進める必要がある業務が多く、これらを円滑に進めるための調整力が不可欠です。

上場企業の経理が「きつい」と言われる理由

上場企業の経理業務は、その複雑さから「きつい」と言われることが多いです。ここでは、その理由について掘り下げてみましょう。

専門知識の必要性と業務負担

上場企業の経理業務は、金融商品取引法や会社法に基づく厳格な基準に従わなければならず、そのための専門知識が必要です。例えば、連結決算や有価証券報告書の作成には高度な会計知識が求められます​。

また、業務の量と範囲も広く、日常的な取引記録から決算業務、税務対応まで、多岐にわたる業務を担当することになります。このため、経理担当者には相応の負担がかかることが避けられません。

多岐にわたる業務範囲と細分化

上場企業の経理部門では、業務の細分化が進んでおり、それぞれの担当者が特定の業務を深く掘り下げることが一般的です。しかし、これにより、業務全体を俯瞰する機会が減り、特定の分野に特化する必要があるため、専門性がより高く求められます​。

また、組織が大きくなるほど、経理部門の業務も複雑化し、管理業務や分析業務など、通常の経理業務以外の役割も増えていくことがあります。このような状況では、専門知識だけでなく、業務の全体像を把握しつつ効率的に進める能力も重要です。

人手不足と過重労働のリスク

上場企業では、決算期や監査対応などの繁忙期において、経理部門の負担が特に大きくなります。これに対処するための人員が不足している場合、過重労働が問題となることがあります​。

このような状況では、業務の効率化や自動化が必要不可欠です。特に、経理部門の多くの業務は繰り返し作業が多いため、これらのプロセスを自動化することで、担当者の負担を軽減することができます。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの技術を導入することで、データの入力や整理、報告書の作成といったルーチン業務を効率化することが可能です。

さらに、経理アウトソーシングを活用することで、人手不足の問題に対処し、業務負担を分散させることができます。これにより、経理部門はより戦略的な業務に集中できるようになり、企業全体の効率性が向上します。

経理アウトソーシングのメリット

経理アウトソーシングは、上場企業において特に有効な選択肢です。ここでは、その具体的なメリットをいくつか紹介します。

業務負担の軽減と専門性の確保

経理業務をアウトソーシングすることで、企業内部の負担を大幅に軽減することができます。特に、複雑な連結決算や税務対応などの高度な業務は、専門のアウトソーシング会社に任せることで、効率的かつ正確に処理されます。また、これにより経理部門は、戦略的な財務管理や経営判断をサポートする業務に集中することができます。

コスト削減と効率化

経理アウトソーシングを導入することで、企業は固定コストを変動コストに転換し、必要なサービスに対して柔軟に支出を調整することが可能になります。特に、繁忙期に合わせてリソースを増減できるため、無駄なコストを抑えつつ、効率的な運営が可能です。また、最新の会計ソフトウェアやツールを活用したアウトソーシングサービスは、企業内部では実現しにくい高度な効率化をもたらします。

外部リソースの活用による品質向上

アウトソーシングを活用することで、最新の専門知識や技術を持った外部のプロフェッショナルを活用できます。これにより、経理業務の品質が向上し、内部のリソースでは対応が難しい複雑な会計基準や税制にも適切に対応することが可能になります。また、経理部門の教育や研修にかかる時間とコストを削減でき、即戦力となるリソースを確保することができます。

上場企業における経理アウトソーシングの成功事例

上場企業が経理アウトソーシングを成功させた事例は多く、その成功にはいくつかの共通するポイントがあります。

実際の成功事例の紹介

例えば、ある大手製造業では、連結決算業務をアウトソーシングすることで、決算プロセスのスピードと正確性を大幅に向上させました。これにより、経理部門は戦略的な財務分析にリソースを集中させ、企業の意思決定プロセスを強化することができました。

また、IT業界の上場企業では、税務対応をアウトソーシングすることで、税務リスクの管理と申告書の作成精度が向上しました。これにより、税務調査への対応がスムーズになり、企業のコンプライアンス体制が強化されました。

アウトソーシング導入のポイント

経理アウトソーシングを導入する際には、適切なパートナーを選定することが重要です。アウトソーシング先の実績や専門知識、対応可能な業務範囲をしっかりと確認し、自社のニーズに合ったサービスを提供できるパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。また、導入後も定期的に成果をモニタリングし、必要に応じて契約内容を見直すことも重要です。

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出典:https://h2r-consulting.com/ 

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まとめ

上場企業の経理業務は、非常に複雑で専門性が高く、多くの企業がその負担に悩んでいます。しかし、経理アウトソーシングを活用することで、業務の効率化やコスト削減を実現し、経理部門のリソースを戦略的な業務に集中させることが可能です。企業の成長と安定を支えるためにも、経理業務の見直しと外部リソースの活用を積極的に検討することをお勧めします。

これらの施策を通じて、上場企業は経理部門の生産性を向上させ、企業全体の競争力を強化することができるでしょう。